2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K05173
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
伊藤 秀一 神奈川大学, 工学部, 教授 (90159905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 允瑠 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40467444)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハミルトン力学系 / 超可積分性 / バーコフ標準形 |
Outline of Annual Research Achievements |
不動点近傍におけるシンプレクティック写像族のバーコフ標準化により対応する力学系が明示的に解ける座標を導入する問題を研究し、シンプレクティック写像の1パラメータ族が不動点の共鳴度に対応した個数の独立な第一積分をもつならば、写像族の線形部分は半単純になることを明らかにした。これにより、超可積分なシンプレクティック写像族では、線形部分に対する付加条件なしに解析的なバーコフ標準化によって「解ける座標」が得られることになる。ここで、独立な第一積分の個数は系の自由度より大きいので超可積分と呼んだが、そこに自由度の数だけのポアソン可換な第一積分の存在は要求しない。その意味で非可換な可積分性を考えていることになる。 この写像族は自励ハミルトン系の周期軌道族に付随するポアンカレ写像がモデルであり、これにより超(非可換)可積分系の周期軌道族の近傍で作用-角変数を拡張した「解ける座標」の存在が示されたことになる。さらに、この周期軌道族は(超)可積分系の階数1の特異点集合に対応するので、より一般の階数の特異点集合の近傍でも同様の解ける座標の存在が期待される。そこでは複数のパラメータに依存する可換なシンプレクティック写像族の線形部分の同時対角化問題が重要になるが、これについては十分な成果を得ることができず、今後の課題となった。 また、可積分系の摂動問題について、ある特別な自由度2の可積分ハミルトン系を摂動して得られる系のポアンカレ写像を調べた。数値計算上では、このモデルはねじれ条件を満たさない不変トーラスをもち、それらは摂動によってきわめて壊れにくいことが観察されるが、それをより数学的に考察し、より普遍的なモデルの構築をめざしてさまざまな考察を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は前年度に得られた成果を論文にまとめる予定であったが、その結果の改良を試みる中で、より緩やかで自然な問題設定が見えてくる進展があり、論文執筆が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
シンプレクティック写像族のバーコフ標準化についての成果を独立な結果として論文にまとめるとともに、超可積分系の特異点における標準形理論を完成させる。また、超可積分なベクトル場の標準形理論の構築を写像に関する標準形理論と合わせて行う。さらに、ねじれ条件の成り立たない不変トーラスの摂動問題の具体的な計算に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
当初は、海外の研究者に当研究の評価をしてもらい、あわせて研究情報交換のために海外出張を行う予定であったが、新型コロナの感染拡大のため出張ができなくなり、そのため次年度使用額が生じた。今後出張ができるようになれば、国内ならびに海外出張に出かける予定である。
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