2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05200
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
福島 竜輝 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (60527886)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ランダム媒質 / 拡散過程 / アンダーソン模型 / 加法的汎関数 / ランダムウォーク / 均質化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
空間的にランダムな重みをランダムウォークの道に沿って足し上げた加法的汎関数（ランダムな景色の中の乱歩とも呼ばれる）の大偏差確率の評価についてJ.-D. Deuschel氏と以前から研究を行なっていたが，その応用あたる部分の最終的な調整を終えて学術誌に掲載が決定した．またAnderson模型における固有値の均質化と揺らぎの研究についても，M. Biskup氏，W. Koenig氏との共同研究を完成させ，学術誌に投稿した．この他に新しい研究としてランダムな障害物を避けるように条件づけられたランダムウォークの軌道の形状に関する研究を，J. Ding，R. Sun, C. Xuの3氏と共同で新たに行なった．この問題はDonsker-VaradhanによるMarkov過程に対する大偏差原理の最初の応用としていわゆる分配関数の漸近挙動が決定されたことをはじめとして非常に深く研究され，ランダムウォークは球に局在することが示されている．その半径は通常の拡散的なスケーリングよりはるかに小さいため，球の内部は完全に軌道に埋め尽くされていることが予想される．しかし大偏差原理から読み取れる情報はある意味で測度論的であり，例えば球の中にランダムウォークが訪問しなかった点があるかどうかという位相的な性質はより深い解析を必要とする．今回の研究はこの予想を解決し，さらには軌道の集合の境界集合が滑らかな球の表面積と大きくはずれないということも示すことを目指して開始した．何の問題についても細かい技術的な障害を除いて証明の道筋をつけることができた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ランダムな景色の中の乱歩の大偏差の研究と，Anderson模型における固有値の均質化と揺らぎの研究について，最終的な結果をまとめて論文として発表，あるいは発表する目処がたったことは一定の進展であったと考えられる．一方で新しく始めたランダムな障害物を避けるように条件づけられたランダムウォークの軌道の形状に関する研究にはかなりの時間をかけて取り組んだため，提案書に当初記載していた他の問題には予定より遅れが出ている．しかしこの新しい研究は，媒質の不規則性によって引き起こされる局在現象を詳しく調べるという意味で，本研究課題における中心的な問題であるから優先して取り組むべき問題と考えた．結果的に古くからある予想に加えて境界の表面積というさらに詳しい情報まで含む結果に至る道筋が見えたことは想定されなかった大きな成果であり，他の問題の研究の遅れを補って余りある進展である考えている．従って総合的に見ておおむね順調に進展していると言える．
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| Strategy for Future Research Activity |
新しく始めたランダムな障害物を避けるように条件づけられたランダムウォークの軌道の形状に関する研究については若干の技術的詳細を詰める作業が残っているので，これを完結させて論文にまとめる．このために平成30年度の夏頃に共同研究者と打ち合わせを行う予定である．またランダム係数を持つ楕円型作用素の固有値の揺らぎとcrushed iceの問題における固有値の揺らぎも平成30年度には成果をあげるべくそれぞれの共同研究者と連絡を取って研究を進める．Stefan Neukamm氏は夏に来日予定であり，またMarek Biskup氏は未確定であるが冬にこちらから訪問して打ち合わせを行えるように調整を行う．
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| Causes of Carryover |
（理由）平成29年度8月に開催した研究集会RIMS camp style seminar "Large scale properties of partial differential equations with random coefficients"において，本研究費から旅費を充当する予定であった参加者が旅費の一部を自身の科研費で負担することを申し出たことが主な理由である．
（使用計画）平成30年度は共同研究のため3件以上の海外出張を予定しており，その旅費に充てる予定である．
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