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2016 Fiscal Year Research-status Report

ランダム媒質における有限区間上の広義拡散過程の様相の解明

Research Project

Project/Area Number 16K05205
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

富崎 松代  奈良女子大学, 名誉教授 (50093977)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 飯塚 勝  福岡女子大学, 国際文理学部, 学術研究員 (20202830)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords広義拡散過程 / モランモデル / 極限過程
Outline of Annual Research Achievements

増大する数列の隣り合う2項によって作られる有限区間を考え、その左端で反射、右端で吸収、内部では一方向ドリフトとする拡散運動を、全区間上の広義拡散過程としてとらえた。上記の設定の下で取り扱う広義拡散過程は可算無限個であるがそれらは互いに独立で同一の法則に従うものとする。増大する数列をランダムにすることにより、ランダムな場所で反射するマルコフ過程の考察が可能となり標本路の時刻無限大での解析が可能となった。これにより、Solomon(1975)の研究手法をある種の広義拡散過程に対して適用可能であることを示した。
これまでにランダムな環境下でのモランモデルとライト・フィッシャーモデルの極限過程である2つの1次元拡散過程が同一でない可能性を考察してきた。今年度はランダムな環境を2値マルコフ連鎖で記述することにより、2つのモデルの2次モーメント(分散)の極限が異なることを明らかにした。
更に、固定された環境の下で、広義拡散過程列の極限過程について考察した。極限過程が広義拡散過程の場合には、尺度関数列の極限と速度測度関数列の極限によって特徴づけられることが知られている。また、先行研究において、尺度関数列の極限が退化している場合であっても、一定の条件下で、極限過程を特徴づけることが可能であることが示されている。しかし、本研究において、尺度関数列の極限と速度測度関数列の極限では特徴づけることができない広義拡散過程列とその極限過程の存在を示した。これにより、広義拡散過程の極限定理の考察において、尺度関数列・速度測度関数列の極限の考察だけでは不十分であるという新たな課題を提起した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要は、平成28年度の研究計画として記載した内容がおおむね順調に進展していることを示している。
ランダム媒質における有限区間上のランダムウォークは、区間端点での境界条件も含めて広義拡散過程としてとらえることができる。ランダムに配置された点で反射する拡散過程を広義拡散過程としてとらえ、Solomon(1975)の手法が適用できることを確認した。これにより時刻無限大での標本路の解析も可能であることを示した。
ランダムな環境におけるモランモデルとライト・フィッシャーモデルは異なる拡散過程を極限過程とすることが示唆されている。ここでは、2つのモデルの2次モーメントの極限が同一でないことを、ランダムな環境を2値マルコフ連鎖として定式化した場合に示すことができた。
固定された環境の下で、広義拡散過程列の極限過程が尺度関数列の極限と速度測度関数列の極限では決定できない例を示すことにより、新たな研究の方向性を示すことができた。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の幾つかの内容は、集団遺伝学の研究と関連を持っている。これまでに得られた諸結果の解釈や今後の研究の方向性を定める上で、実験的研究を含む集団遺伝学の立場からの情報が重要となる。この観点から、平成29年度より楠見淳子氏(九州大学比較社会文化研究院准教授)が連携研究者として参加する。
平成28年度に得られた結果を用いて、研究代表者、研究分担者、連携研究者は討論を行いながら、以下の研究を推進する。①ランダム媒質における有限区間上の広義拡散過程の列を考察する。極限過程の存在、極限過程の性質、特に、標本路の挙動について考察する。媒質のランダム性と境界条件が尺度関数と速度測度関数に与える影響の取扱いが問題になるが、Brox(1986)による極限過程を双一般化拡散過程として捉えたOgura(1989)の手法を用いて解析する。 ②集団遺伝学における課題(ランダムな環境変動を伴う確率モデルの定式化とその性質の解明)に取り組む。なお、楠見淳子氏が本研究課題の連携研究者として参加することにより、集団遺伝学におけるランダムな媒体中の確率過程の研究を加速させることができる。
固定された環境の下で、有限区間上の広義拡散過程に対応するディリクレ形式を考察し、区間の端点での境界条件や区間内部での速度測度の退化の様相がディリクレ形式に反映される状況を明らかにする。また、有限区間上の広義拡散過程と球面ブラウン運動との斜積を考察し、その標本路の挙動の解明と対応するディリクレ形式の決定を目指す。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] 遺伝子変更が互助的相互作用による分子進化に及ぼす効果の数理的解析2017

    • Author(s)
      飯塚 勝
    • Organizer
      九州分子進化セミナー
    • Place of Presentation
      九州大学・伊都キャンパス
    • Year and Date
      2017-11-11
  • [Presentation] 遺伝子重複の効果を含む互助的相互作用による分子進化機構の確率モデルの定式化2017

    • Author(s)
      飯塚 勝
    • Organizer
      九州分子進化セミナー
    • Place of Presentation
      九州大学・伊都キャンパス
    • Year and Date
      2017-07-01
  • [Presentation] h-transform of diffusion processes and its applications2016

    • Author(s)
      Matsuyo Tomisaki
    • Organizer
      Brownian Motion and Stochastic Processes - Conference in memory of Marc Yor -
    • Place of Presentation
      Biwako-Kusatsu Campus, Ritsumeikan University
    • Year and Date
      2016-06-04
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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