2018 Fiscal Year Annual Research Report
Loewner theory on universal covering maps
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16K05206
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳原 宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30200538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 一敬 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (10725237)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複素解析 / レブナー理論 / 普遍被覆写像 / 等角写像 / 連結度 / 核収束 |
Outline of Annual Research Achievements |
レブナー理論とは, 複素平面内の領域上で定義された等角写像に時間パラメータを加え, 像領域に「動き」を持たせたレブナー鎖と呼ばれる1パラメータ族を, 時間微分と複素微分との間に成り立つ微分方程式で記述制御するものである. 20世紀初等に導入され古典的と見做されてきた同理論が, 21世紀になり統計物理・共形場理論への応用が見出され新たな発展期を迎えている. 本課題では, [基礎研究] と [応用研究]の立場から研究を行った. 基礎研究ではレブナー理論を等角写像を含むより広いクラスである普遍被覆空間上の被覆写像にまで拡張を行うことを目標としたが, 証明を模索しているうちに普遍被覆写像を含むより広いクラスでも微分方程式が成り立つことを示すことに成功した. また古典理論では時間パラメータに関する正規化を行うのが通常であるが, 正規化の枠を外すことにも成功した. そしてクラスの拡張を行う際に,等角写像のクラスでは起こらないが,拡張に伴い起こるようになる典型的な現象を2つ捉えることができた. その一つはレブナー鎖の拡張可能性である.等角写像のレブナー鎖はつねに時間パラメータの範囲を真に拡大することができるという意味で拡張可能であるが, 普遍被覆写像に一般化すると拡張不可能になる例を発見した.もう一つの現象は像領域の補集合の成分に関するものである. 像領域は時間とともに拡大していくので,補集合は縮小することになる.しかしながらある時点での補集合の連結成分は,時間が進むに連れて分裂,縮小することはあっても決して空にはならないことを証明することが出来た. 応用研究では, 普遍被覆写像を記述する微分方程式から写像の幾何的及び解析的な性質を導出することを目標とした. 現在のところ普遍被覆写像の時間変化に伴い対応する被覆変換群の時間変化を追跡することができた.
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