2020 Fiscal Year Research-status Report
くりこみ群によるフラクタル上の非マルコフ過程の解析
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16K05210
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
服部 久美子 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80231520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ループ・イレーズド・ランダムウォーク / フラクタル / ランダム・フラクタル / 非マルコフ過程 / 連続極限 / 変位の指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラクタル上の非マルコフ過程の研究を行っている。 これまでシェルピンスキー・ガスケットとよばれるフラクタル上で、自己回避ウォーク、自己反発ウォーク、ブランチング・モデルなどさまざまな非マルコフ過程を構成し、その連続極限の存在を示し、見本関数の性質を調べてきた。特に、近年はループ・イレーズド・ランダムウォークという、単純ランダムウォークからループをできた順に消して得られる非マルコフ過程を様々な面から調べてきた。その際に「大きい順にループを消すルール」を開発し、シェルピンスキー・ガスケット上ではできた順に消すのと同値であることを証明した(一般には消す順番によって異なる確率を得る)。さらに、単純ランダムウォークの代わりに自己反発ウォークからループを消してできる確率過程も構成した。現在取り組んでいるのは、確率過程の存在する空間のランダム化、すなわちランダム・フラクタル上のループ・イレーズド・ウォークである。ランダム・フラクタル上のマルコフ過程は多くの研究があるが、非マルコフ過程に関しては初めてのものになるはずである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナ蔓延のため、大学の講義がオンライン化し、初めてのオンライン授業の準備に莫大な時間をつぎ込んだ。今年度も途中からオンラインになる可能性もあるが、いずれにしても昨年度のノウハウを生かすことができて、研究に時間をとる余裕があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はこの先大学院生との共同研究をするために、大学院生2人に必要な基礎を教えてきた。これから、簡単なランダム・フラクタルの上のループ・イレーズド・ランダムウォークを構成し、その性質を調べる方向に進んでいく。この共同研究が完成したら、より本格的なランダム・フラクタルを扱う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は専攻長の仕事で拘束され出張を行わなかった。2020年度は新型コロナウイルス蔓延のため、オンライン授業に急遽移行し、その準備に莫大な時間を取られた。2021年度はこれまでより余裕をもって研究ができると期待している。
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