2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of multi-dimensional singular integral theory in non-commutative harmonic analysis - A new method combining real analysis and representation theory
Project/Area Number |
16K05211
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河添 健 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 名誉教授 (90152959)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特異積分論 / アーベル変換 / ハーディ空間 / 半単純群リー群 / ヤコビ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題は主としてヤコビ解析およびその拡張として高ランクの場合における特異積分論の構築である。研究を通してアーベル変換を用いることによりユークリッド空間における特異積分論に帰着させる手法が有効であることが分かってきた。最終年度は高ランクの場合として、Kunze-Stein 現象の端点評価の解析とHausdorff作用素のLp有界性を調べた。前者に関しては、ヤコビ解析におけるKunze-Stein 現象の端点評価の証明に関して、先のアーベル変換を用いる方法の有効性は確かめていたが、高ランクの場合は困難に直面した。そこで結果を予測する意味で、複素半単純群やSU(n,m)の場合に具体的に計算し、それぞれの場合に結果を得ることができた。最終年度はこの結果を一般の半単純上に拡張することを試みたが、先の結果は具体的な計算に依存する部分が多く、一般の半単純群上での端点評価には至ってない。これに関しては研究を継続している。後者のHausdorff作用素のLp有界性に関しては、1変数の場合のdilationと重み関数を、高ランク(多変数)の場合には、線形変換と重み関数に拡張することにより一般論を構築することができた。最終年度は線形変換を一般化した場合にどのような作用素が得られるかを調べた。 高ランクの場合の特異積分論をアーベル変換を用いてユークリッド空間の特異積分論に帰着させる方法の有効性は徐々に分かってきたが、課題となるのは実ハーディ空間の構成とそのアトム分解である。各種の作用素の有界性を極めるためにはどうしても実ハーディ空間とそのアトム分解が必要である。半単純群上で実ハーディ空間は定義できたが、そのアトム分解に関して奇麗な形が得られず、各種の作用素の有界性の証明に応用できる状況ではない。今後の研究課題として、半単純群上の実ハーディ空間のアトム分解の研究を継続する。
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