2017 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブレット解析の応用や信号処理における数学的諸問題
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16K05216
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
萬代 武史 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10181843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦野 隆一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80249490)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 解析信号 / 瞬間振幅 / 信号源分離 / 画像分離 / 画像の回転 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で,一般の信号の瞬間振幅についての新たな不等式が得られ,周波数帯が狭い場合に瞬間振幅(解析信号の絶対値)が元の信号の粗い変動を表すことの数学的基礎づけの1つが得られ,また不等式に現れる定数の最適性について検討し,一部の結果が得られていた.今年度はこれらの結果を,京都大学数理解析研究所の講究録としてまとめた.その際に証明を改良し,例にさらなる検討を加えた.最適性について残された問題の解決には,不等式の改良に対する新たなアイデアが必要と思われる. 信号源分離のうちの画像分離については,いくつかの画像を平行移動をして重ねられている画像を観測画像として,平行移動量の違う観測画像が十分な枚数ある場合に,それらを分離する問題を今まで考察してきていたが,回転も含める問題へと考察を進めた.回転だけの場合の予備的考察は,既に前年度にある程度できていたが,回転して平行移動し重みをつけて重ねた観測画像が数枚ある場合に,それらを分離する問題についても考察を進めた.今年度は2枚の観測画像から,元画像の枚数,相対的な回転量,相対的な平行移動量の3つの量を推測する方法の原理的な考察がほぼ完成した.また,この原理に基づくアルゴリズムを考案し,シミュレーションを行った.その結果,もともと困難があるはずの似すぎている画像を重ねる場合以外は有効なアルゴリズムであることを確認した.これらの成果の一部を応用数理学会年会・研究部会連合発表会で発表した.また,成果をISAAC 議事録として投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
瞬間振幅に関する不等式について,定数の最適性や例について,今までより進んだことが分かった. 信号源分離については,画像を回転・平行移動して重みをつけて重ねられているものを分離する問題について,元画像の枚数,相対的な回転量,相対的な平行移動量を推測する原理的な考察が進み,相対的な重み(重みの比)については原理的な考察段階で新たなアイデアが必要な状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
瞬間振幅については,すでに得られた不等式の最適定数や例についてさらに調べるとともに,別の型の不等式について考察を進める.信号源分離については,画像を回転・平行移動して重みをつけて重ねられているものを分離する問題について,アルゴリズムの改良を考えるとともに,相対的な重み(重みの比)についての原理的な考察を進める. その他,以下の課題について昨年度に引き続き考察を進める. 1. 解析信号を使った瞬間振幅・瞬間周波数の理論的正当性の検討 2. 帯域制限信号の空間と数列空間の同型性(サンプリング定理) また,各種応用に現れる数学的問題(数学的にきちんと定式化・証明がされていない問題)について情報収集に努める.
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Causes of Carryover |
(理由)海外出張に行く予定を取りやめ,大学での研究と国内での出張を重視したため,およびパソコン更新が実施できず(主任職の多忙や研究室の引越しなどによる),次年度となってしまったため,余裕が生じた. (使用計画)新たな配分額90万円と合わせて,物品費,旅費などに使用する.特に,パソコンの更新やそれに伴うソフトの更新を行う.また,最初の予定より積極的に研究会に出席し,旅費に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)