2016 Fiscal Year Research-status Report
有界対称領域及び単位球上の正則写像、多重調和写像に関する研究
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16K05217
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
濱田 英隆 九州産業大学, 工学部, 教授 (30198808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有界対称領域 / ブロック関数 / 合成作用素 / シュワルツ・ピックの補題 / 歪曲定理 / ブロック定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1. 単位円盤上のBonkの歪曲定理を有限次元有界対称領域上の局所両正則写像に一般化した。その応用として、局所両正則ブロック写像に対するブロック定数の下限を与えた。 2. 無限次元有界対称領域上のブロック関数とブロックノルムを定義した。有限次元有界対称領域上では、これまで用いられていたTimoneyによる定義と異なる定義であるが同値な定義になっている。ブロック関数全体の空間がバナッハ空間になる事を証明した。有限次元有界対称領域上で得られているブロック関数となるための様々な必要十分条件を無限次元有界対称領域上に拡張した。ヒルベルト空間上で得られていたブロック関数のテイラー展開の係数評価式を無限次元有界対称領域上のブロック関数に拡張した。シュワルツ・ピックの補題を無限次元有界対称領域に一般化した。有界関数がブロック関数であることを証明した。有界でないブロック関数の例を与えた。ユークリッド単位球上で得られている小ブロック空間の特徴づけを無限次元ヒルベルト空間の単位球上に拡張した。無限次元有界対称領域上のブロック空間の間の合成作用素は、有界線形写像であることを証明した。無限次元有界対称領域上のブロック空間の間の合成作用素がコンパクト作用素になるための様々な必要十分条件を、小林擬距離、ベルグマン作用素、ノルムなどを用いて様々な評価式の形で与えた。これらは、有限次元有界対称領域上の結果を無限次元有界対称領域上に拡張したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち、1番目については、有限次元有界対称領域上の局所両正則Bloch写像に対するBonkの歪曲度評価式を解明し、さらにBloch定数について結果を得て、論文発表した。 研究目的の2番目については、有限次元有界対称領域上のBloch関数の同値な定義の多くが無限次元バナッハ空間の有界対称領域上のBloch関数についても成り立つことを証明し、Bloch空間の間の合成作用素が有界であることを証明し、更に、コンパクトになるための必要十分条件を与えた。これらの結果を論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)有限次元有界対称領域上のα-Bloch写像についての歪曲定理とBloch定数について調べる。 (2)ユークリッド単位球上の様々な単葉正則写像の属の端点・支持点について調べ、単位円盤上の単葉正則写像の族について得られている結果との類似点や相違点について研究する。
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Causes of Carryover |
旅費が当初の研究計画より必要になり、前倒し支払い請求を行ったが、前倒し支払い請求額は10万円単位なので、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を次年度の旅費に充当する予定である。
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