2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05221
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
千原 浩之 琉球大学, 教育学部, 教授 (70273068)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 擬微分作用素 / フーリエ積分作用素 / バーグマン変換 / 量子化 / 超局所解析 / 生成・消滅作用素 / エルミート関数系 / 分散型写像流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超局所解析とよばれる微分作用素の解析学やその基盤である擬微分作用素やフーリエ積分作用素の理論と様々な応用、および、幾何解析とよばれる多様体上の関数や多様体間の写像に対する解析学やその応用について考察することを目的としている。2016年度の成果は年度末近くになって3編の学術論文を執筆し、査読付きの学術雑誌に投稿したことである。これらの研究課題は、いずれもユークリッド空間上のバーグマン型変換とよばれる複素数値相関数をもつフーリエ積分作用素になっている積分変換に関連するものであり、これは最近のユークリッド空間上の超局所解析では基本的な手法である。 [1] 古典的なバーグマン変換はエルミート関数系の母関数を積分核とする積分変換であり様々な面白い性質が知られている。1つ目の論文では、一般のバーグマン型変換に対して、古典的なバーグマン変換に関連して知られている基本的性質に相当する部分をほぼ完全に調べた。さらに、非可換調和振動子とよばれる常微分方程式系の可換な場合の固有値・固有関数系の新しい計算手法を開発した。また、通常のバーグマン変換は1次元の場合にハ複素平面上の円が関連しているが、複素平面上の任意の楕円を決めると関連するバーグマン型変換が決まり、それから様々な知見が得られた。 [2] 2つめの論文では、いくつかの緩増加超関数のエルミート関数系によるフーリエ級数展開を計算した。これは主に2015年度に筆者が指導した学生と一緒に行った計算であり、最近学術誌に掲載決定になった。 [3] [1]を arXiv にも投稿したら、量子化に関連した関数解析のベテラン研究者である欧州の研究者が興味を持って自分たちの研究に関係ありそうだと指摘していただいた。彼らの研究に現れるヒルベルト空間の正体などを、我々の枠組みや手法で完全に解明することができて、思わぬ形で3つ目の論文を執筆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度の活動は、やや遅れていた2編の論文執筆が完了したのが主要部分であるので、「やや遅れている」と判断すべきであろう。遅れることで、執筆内容にはいくつかの改善点があるのが唯一の救いである。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、以下の2つの具体的な課題 (1,2) に取り組むことだけは決まっており、1番目の課題に取り組むための技術的補強や情報収集を行っている。 1. ゲルファント・シロフ級の関数族やその位相的双対の枠組みでの波面集合の特徴づけ、および、このような枠組みでの分散型とよばれる偏微分方程式の解の平滑化効果や特異性の伝播・消滅現象を研究する。 2. ハイゼンベルグ群を一般化した非可換性が比較的弱いりー群が知られている。ハイゼンベルグ群はバーグマン変換やその周辺と密接な関連がある。一般化したりー群に対応するバーグマン変換やその周辺の諸概念に対応するものは何かを解明する研究を行う。 3. 具体的な課題は決まっていないが、擬微分作用素を用いた幾何学的な研究に強い関心があるので、境界値問題・指数定理・複素幾何に関連した研究課題を探索する。
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Causes of Carryover |
2016年度4月に現在の所属機関に異動したが、次年度使用額が生じた主な原因は以下のとおりである: 1. 予想以上に職場の業務のための時間的制約があり、また職場の業務の予定が事前通告されないので、予定が立てにくく研究活動のための出張があまりできなかった。特に、時間的制約のために、国際研究集会の招待講演の依頼2件を断らなくてはならなかったのは残念である。 2. 研究費を実際に使用する時の研究者が行う手続きの量が非常に多く、職場のやり方になかなか慣れることができなかったので、必要な物品の購入が後回しになりがちであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に使用される見込みである。実際、5年以上使用してきた主力のリナックスの計算機が最近壊れてしまったので、新規購入しなくてはならないなど、研究に必要で50万円未満ながらある程度高額な物品の購入がいくつか必要である。沖縄は湿気が強いので計算機のような電子機器の寿命が日本よりも短いようで、今後は予想外の物品購入が必要となる可能性があるかもしれない。
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Research Products
(3 results)