2018 Fiscal Year Research-status Report
主部の係数が時間のみの函数でコーシー問題が適切である双曲型作用素の特徴付け
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16K05222
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 誠一郎 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (10015894)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 双曲型方程式 / コーシー問題 / 適切性 / 超局所解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
双曲型作用素に対するコーシー問題がC∞適切になるための必要十分条件を得ることを最終的な目的として、研究に取り組んできて、2重特性的である作用素に対してはほぼ満足すべき結果を得た。以前に係数が時間変数のみに依存する3階の双曲型作用素に対して、sub-sub-principal symbol を定義して、subprincipal symbol 及び sub-sub-principal symbol に条件を課して、コーシー問題がC∞適切になるための十分条件を与えた。30年度は、これらの条件がコーシー問題がC∞適切になるための必要条件になっているかについて考察した。残念ながら作用素に制限を置かなければ証明できなかったが、特別な形の3階の作用素ではあるが、subprincipal symbol 及び sub-sub-principal symbol に課した条件の必要性を示すことが出来た。これは、 sub-sub-principal symbol の定義の正当性を示すもので、本研究にとって大きな意味を持つものと考える。また主部の係数が時間変数にのみ依存する3階の作用素に限れば、量子化正準変換で不変になるように sub-sub-principal symbol の定義を拡張した。一般の3階の双曲型作用素に対する必要条件を考察するための準備として、実解析函数を係数にもつ3次の代数方程式の根の Puiseux 展開に関する補題を証明した。また3重特性的な作用素についても、引き続きコーシー問題がC∞適切になるための必要条件・十分条件について研究した。 双曲型方程式の研究者の研究交流の場になっている、山口大学で開催された研究集会「第34回松山キャンプ」の旅費を補助し、その研究集会における討論等研究交流を通して、今後の研究のための有益な情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度において示したいと考えていた結果を、ほぼ得ることが出来た。特に、特別な形の3階の作用素に制限する必要があったが、subprincipal symbol 及び sub-sub-principal symbol に課した条件が、コーシー問題がC∞適切になるための必要条件になっていることを示すことが出来たことは、本研究にとって大きな意味をもつことだと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従って研究を進めていく。特に、係数が時間変数のみに依存する一般の3階の双曲型作用素に対して、コーシー問題がC∞適切になるための必要条件について考察する.さらに、係数が時間変数のみに依存する3重特性的な双曲型作用素に対するコーシー問題がC∞適切になるための必要十分条件について考察する。次に低階の係数が空間変数にも依存する場合の研究に進む。
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Causes of Carryover |
(理由) 松山キャンプ(研究集会)参加者の旅費の補助に、25万円を使う予定であったが、旅費の補助を希望する人が思っていたほど多くなく、12万円ほど残額が生じた。次年度に外国出張を予定していることもあり、このまま次年度に繰り越すことにした。 (使用計画) 繰り越した額は、外国出張の費用の一部にまわす。
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Research Products
(2 results)