2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05236
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
梶木屋 龍治 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183261)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 最小エネルギー解 / 楕円型偏微分方程式 / p ラプラス方程式 / (p,q) ラプラス方程式 / 放物型偏微分方程式 / 定常解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 1次元(p,q)ラプラス方程式をディリクレ境界条件のもとに考察している. その方程式の正値解の分岐を研究している. パラメーターp, q の大きさに応じて5種類の分岐図が現れることを証明している. そのうち2つの場合は, 分岐曲線が単調であり, 残りの3つの場合は, 分岐曲線が単調でなく折れ曲がっている. その結果, 正値解の存在と一意性及び非一意性についての詳細な結果が得られた. 2. 球において, ディリクレ境界条件の下で, p ラプラス方程式を研究している. 係数関数が符号変化する場合を扱っている. この関数が球の表面近くで正であり, それ以外の部分では負となる場合を考察している. レイリー商を最小にする解を最小エネルギー解と呼ぶ. それは正の解になる. 最小エネルギー解の研究は, 放物型偏微分方程式の解の漸近挙動, 及び定常解の安定性を研究する上で非常に重要である. この研究においては, 最小エネルギー解が球対称でないことを証明した. その結果, 球対称解と球対称でない解の両方が存在することを証明した. 3. 劣線形放物型偏微分方程式の初期境界値問題を研究した. 初期値問題に対する解の存在を証明した. また定常解の安定性と不安定性についての研究を行った. 方程式が劣線形であるために, 正値定常解, 負値定常解は一意である. 次のことを証明した. 正値(負値)定常解は指数漸近安定である. さらにその指数を厳密に与えた. 小さな定常解は不安定であることを証明した. 1次元の問題に対して, 定常解全体の構造を明らかにし, その安定性と不安定性をすべて明確にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は1編の論文が査読付きの専門誌に掲載された. しかしながら, 2018年度に4編の論文が掲載予定である. 2回の国際研究集会, 4回の国内研究集会での講演発表を行った. 研究業績の概要でも述べたように, (p,q)ラプラス方程式の正値解の分岐, 最小エネルギー解の非対称性の研究, 劣線形放物型偏微分方程式の解の存在, 定常解の安定性, 不安定性についての詳細な研究を行っている. そのために本研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 現在までに得られた研究成果を精査し今後の研究の基礎とする. また海外の研究集会に出席し, 自分自身の研究成果を発表することにより, 他の研究者の評価を受ける. これにより自分の研究水準が世界的基準からどのような位置にあるかを知ることができる. またその際に, 外国の数学者と情報交換をして, 現在の世界の数学の方向を知るとともに, 自分の数学の材料と情報を集める. 2. 国内の研究集会に出席して, 自分の研究成果を発表する. またその際に, 共同研究者と研究打ち合わせを行い, 今後の研究の進め方について討論し, 情報交換をする.
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Causes of Carryover |
今年度は国内及び海外の研究集会が少なく, 出張費にあまり科研費を使わなかったために次年度使用額が生じた. 台湾での国際会議が7月に開かれる. これに出席して研究成果を発表し, 同時に研究打ち合わせを行い, また最新の情報を得る予定である. この出張費に使用する.
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