Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて」を遂行するために, 非線形 Sturm-Liouville 微分作用素(非中立型)あるいは中立型微分作用素を主要部とする種々の微分方程式や方程式系に対して, (a) 非線形微分方程式の振動性の特徴付け, (b) 非振動型の微分方程式に非摂動項を付加したときの解への影響, (c) 様々な微分方程式の非振動性を解析するための正則変動関数論の活用(正則変動関数とは, 1930年セルビアのJ. Karamata が無限遠の漸近挙動によって分類したあるクラスの関数族の総称である.)という主に3つの課題に焦点を当てた研究を実施した. [研究実施の具体的な内容] [1] 情報収集と補助的な研究の実施: 原子物理学や天体物理学に現れる非線形微分方程式(Thomas-Fermi型, Emden-Folwer型)に対して, 知られている既存の結果を体系的に纏め, 証明に利用されている数学的な手法及び技術を可能な限り取集することに努めた. 情報の収集は, 主にインターネットを利用したが, 最も価値があったのが, 同分野の国内外の研究者からの情報であった. さらに, 現在実施している研究内容の理解を深める為に, 数学教育関連の論文を3編執筆した. [2] 研究成果と論文策定: 研究経過を定期的にこの分野の専門家である草野尚教授とスロバキアの Jaroslav Jaros教授に報告して批判と助言を求めた. [3] 平成29年11月にセルビアの Jelena V. Manojlovicを我が国に招聘し, RIMS(京都大学数理解析研究所)においての講演と研究打ち合わせを行った. [4] 研究成果発表: 平成29年7月に大阪府立大学において開催された「第45回なかもず解析セミナー」などで得られた研究成果を発表し好評を博した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1] J. Jaros, T. Kusano and T. Tanigawa, Regularly varying solutions with intermediate growth for a class of cyclic differential systems of se second order, Electorn. J. Differential Equations 2016, Paper No.328, 22 pp. [2] Tomoyuki Tanigawa, Existence of rapidly varying solutions of second order half-linear differential equations, IWQUALITDE-2017, pp. 188-192. [3] 谷川智幸, Asymptotic analysis of positive solutions of a class of nonlinear differential equations in the framework of regular variation, 京都大学数理解析研究所「常微分方程式の定性的理論とその周辺」, 数理解析研究所講究録, 2032, (2017), 11-20. [4] 谷川智幸, 井上直哉, 澁谷明人, 「数理モデルの援用による数学授業開発」, 熊本大学教育実践研究, 第34号, 37-45, 2017. 上記の通りの研究成果を収めている. 今後, 更なる努力をし, 研究成果を挙げ, 各種の研究集会で発表したいと考えている. その際, 他の研究者から批判と助言を仰ぎたいと考えている. 以上のことから研究は概ね順調に進行していると考えられる.
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