2019 Fiscal Year Research-status Report
非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて
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16K05238
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷川 智幸 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10332008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非線形微分方程式の振動理論 / 非線形振動理論 / 正則変動関数論 / 非振動解の漸近解析 / Riccati 方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて」を遂行するために, 非線形 Strum-Liouville 微分作用素(非中立型)あるいは中立型微分作用素(遅れあるいは進みの関数変数を含んだ)を主要部とする種々の微分方程式やそれらの方程式系に対して, (a) 非線形微分方程式の振動性の特徴付け (すべての解が振動である),(b) 非振動型の微分方程式に非摂動項を付加したときの元の解への影響, (c) 様々な微分方程式の非振動性(振動解との共存も考えつつ, 非振動解の存在と無限遠におけるその非振動解の漸近挙動の把握)を解析するための正則変動関数論の援用 (正則変動関数論とは, 1930年にセルビアの J. Karamata によって創始されたある基準に従って分類されたクラスの関数族の総称である. この正則変動関数論は, 微分方程式論の範疇のみならず確率論, 複素解析など多岐に亘って応用されている.), (d) 非振動解の存在など有用な情報を提供する非線形 Riccati 方程式を活用した解の全体構造の解明, という主に4つの課題に焦点を当てて研究を行った. [研究実施の具体的な内容とその成果] [1] 情報収集と情報交換の実施:最近の話題となっている宇宙物理学や原子物理学さらに都市間の人口動態に関する問題に現れる数理モデル (考究の対象は, 非線形微分方程式である)に対して, 知られている既存の結果の体系化及び証明に利用されている数学的な手法や技法を網羅した. 情報収集に関しては, インターネットが主であることは言うまでもないが, 最も価値があり先見的な研究ができた要因は, 同分野の他の研究者からの情報である. [2] 研究成果:(1) Riccati 方程式との関連, (2) 4階非線形微分方程式の振動性, に関する結果を導き成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1] J. Jaros, T. Kusano and T. Tanigawa, Oscillation criteria for fourth order half-linear differential equations. Archivum Mathematicum (Brno), (to appear) [2] Tomoyuki Tanigawa, Asymptotic analysis of two-dimensional cyclic systems of first order nonlinear differential equations.IWQUALITDE,(to appear) 上記の通り, 先端的で興味深い研究成果を収めている. 今後更なる努力を重ね世界に誇れる研究成果を量産させ各種の研究集会で得られた研究成果を公表し批判と助言を仰ぎたい.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によって, 国内外の情勢がどのような展開になるか不明であるが, 著名な国際研究集会, 国内研究集会(含日本数学会)において研究成果を発表し, 同分野の研究者から様々な助言と批判を賜り, 今後の研究の発展に拍車をかけ, 当然困難が予想される研究に真摯に取り組み興味深くかつ斬新な研究成果を一日でも早く導くことに精励したい.
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Causes of Carryover |
昨年度と同様に本年度の4月から本研究課題の中枢と言える課題を遂行するために, 多くの研究時間を要することを想定していたが, 予期した通りになり苦心惨憺の末, 興味深い価値ある論文を執筆することができた. 次年度は, 本年度で得た研究成果を国内外の研究集会及び海外の同方面の研究者に直接会い助言と批判を仰ぎたいと考えていた. そのため本年度の予算を国際研究集会の参加費及び海外の研究者との面談に対する費用として次年度に繰り越しすることにしていた. しかし, 当初の計画に反して新型コロナウィルス(COVID-19)によって, 今後の研究計画をいかにするべきか困惑している状況である.
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Research Products
(5 results)