2022 Fiscal Year Research-status Report
非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて
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16K05238
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷川 智幸 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10332008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非線形微分方程式の振動理論 / 非線形振動理論 / 正則変動関数の理論 / 微分方程式の振動性と非振動性 / 微分方程式の解の漸近解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「非線形微分方程式の定性解析の新機軸:非線形振動理論の新たな局面を迎えて」を遂行するために, 本年度は, 非線形 Sturm-Liouville 微分作用素あるいは中立型の微分作用素を主要部としたもの, さらに主要部と摂動項に新たな冪乗関数を導入した全く新しいタイプとする常・偏・関数微分方程式やそれらの方程式系に対して, (a) 非線形微分方程式の振動性の特徴付け, (b) 振動解の定量的・定性的な性質(零点分布, 振幅など)の解明, (c) 様々な微分方程式の非振動解の無限遠点における漸近挙動の解析に J. Karamata が創始した正則変動関数の理論(複素解析, 解析的整数論, 確率論などにも応用されている)の活用, (d) 振動解及び非振動解の存在と無限遠点における漸近挙動に対して有益な情報を提供する(非)線形 Riccati 方程式の活用(解の全体構造の解明)という主に4つの課題に焦点を当てた研究を実施した. [研究実施の具体的な内容] [1] 情報収集: 本年度は, 線形版と非線形版の中間に位置する半分線形微分方程式及び冪乗関数を含む非線形微分方程式に対して,既に知られている先行研究の結果を体系的に纏め, 証明に利用されている数学的手法及び技術を分類し可能な限り情報を得る作業を行った. 情報の収集は, インターネットや他大学の図書館の利用及び関連の研究者からの助言を賜ったが, 本年度も, 特に新型コロナ感染防止のためにインターネットの利用が主流となった. [2] 研究成果報告と論文策定: 研究経過を定期的にこの分野の世界的権威である草野尚教授(広島大学名誉教授, 福岡大学)とスロバキアの J. Jaros教授(コメニウス大学)に報告して批判と助言を求めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響を受けているため, 研究成果発表が出来ない状況である. また, 国内外の研究集会や学会などで同分野の研究者との情報交換を円滑にかつ十分に行うことができないため, 少しばかり研究は遅れていると思われる. コロナ感染終息後は, 得られた研究成果を国内外における研究集会において公表し建設的な批判と助言を賜りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最近, 新型コロナ感染の影響が弱まったため, 可能な限り国内外の研究集会(含日本数学会)において研究成果を発表し,同分野の研究者から様々な助言と批判を賜りつつ今後の研究の推進に拍車をかけたい. さらに, 今後当然困難が予想される研究に対しては, 多くの時間を割いて真摯に取り組み興味深い研究成果を一日でも早く導き世界に先駆け日本の研究力を示したい.
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナ感染予防のために, 国内外の研究集会の参加, 同分野の研究者との情報交換をするための旅費を使用する機会がなかった. そのため次年度使用額が生じたが, 次年度から情報収集と研究に必要な機器購入に使用したい.
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Research Products
(2 results)