2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘルムホルツ方程式の解の評価と対応する非定常問題の解の平滑化評価に関する研究
Project/Area Number |
16K05243
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中澤 秀夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (80383371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 光輝 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70300548)
望月 清 首都大学東京, 理学研究科, 客員教授 (80026773)
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 講師 (90260851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 波動方程式 / 定常問題 / スペクトル解析 / リゾルベント評価 / 摩擦項 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、本研究課題の研究を推進した。今年度は本研究をやや進展させることができた。 具体的には、摩擦項を伴う波動方程式の定常問題として得られる摂動されたHelmholtz方程式の解の評価‐重み付き空間におけるリゾルベント評価‐を考察した。既存の結果では、摩擦項の係数関数に区間遠方での減衰性だけでなくマキシマルノルムの小ささ事態も必要であったが、この小ささの仮定を除去する試みを考察し、空間次元は3以上、スペクトルパラメータの虚部に関する制限と、空間遠方での減衰度の仮定として-3/2乗よりも早い減衰とを仮定することにより、通常の重み付き空間におけるリゾルベント評価を、摩擦項の係数関数のマキシマルノルムの小ささを仮定することなく導くことに成功した。この結果は2018年10月に名古屋工業大学で行われた研究集会で報告済みである。 これらの評価の導出においては、本研究代表者が以前導いた不等式を有効利用することが鍵となった。この不等式を使わずに評価すると、評価の段階で現れる各項の係数関数が全て非負であることが必要となり、そこで小ささが必要となる。ところが今回の評価法によれば、ある項の係数関数が負であっても他の項との和を考えることで非負性が担保されれば十分であるという点が本質的である。 今後の課題に関し、減衰度の仮定として-3/2乗という条件は自然なものとは思えないので、今後はこの部分の改良可能性を考察していく。更に小ささの仮定なしでの一様リゾルベント評価の導出や、空間次元が2の場合の考察もしたい。これらの研究を通して、対応する作用素のスペクトル構造が明らかになれば元々の非定常問題の解の挙動に関する結果に関して新たな知見を得ることができるものと信ずる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前導出した不等式を無駄なく有効に利用する方法に気づき、摩擦項の係数関数の小ささの仮定なしに定常問題の重み付きリゾルベント評価を導くことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは減衰度の改良、スペクトルパラメータの虚部に関する制限の除去を目指したい。また、2次元区間におけるリゾルベント評価、さらに進んで、一様リゾルベント評価まで確立できれば、極限吸収原理や散乱理論の既存の結果の改良にもつながるので、これらの問題を考えたい。
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Causes of Carryover |
次年度に海外研究集会に参加する予定が生じたため、そのための予算確保の意味もあって、必要のない無駄な支出は極力避けた科研費の使用を心掛けた。
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Research Products
(1 results)