2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05249
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| Research Institution | Utsunomiya University |
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Principal Investigator |
三橋 秀生 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (60455095)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | グラフのゼータ関数 / 四元数 / 量子ウォーク |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から進行中であった、有限連結単純グラフに対しその対称有向グラフの各有向辺上に四元数重みを持つ場合の（第１種）四元数重み付きゼータ関数の橋本型行列式表示、伊原型行列式表示及び母関数表示に関する研究を完成させた。そして本研究で定めた四元数重み付きゼータ関数の定義が、行列式表示の可能性や有理性などから自然で妥当であることを検証した。
さらに、有限連結単純グラフ上の量子ウォークのスペクトル問題に決定的な役割を果たすグラフの第２種重み付きゼータ関数の（有向）辺上の重みを四元数とした場合のゼータ関数を、（第１種）四元数重み付きゼータ関数の橋本型行列式表示を修正する形で定義し、その伊原型行列式表示やオイラー積表示を導出した。導出に際しては（第１種）四元数重み付きゼータ関数と同様にStudy行列式でゼータ関数を扱ったが、変数は四元数とし、オイラー積の収束性についても議論を行った。
モノイド元を重みにもつ場合の非可換重み付きゼータ関数についても、オイラー積を用いた定義と橋本型行列式表示については概ね完成した。伊原型行列式表示については、一応の導出はできているが、もう少し議論の整理が必要な段階である。
グラフ上の四元数量子ウォークについては、第２種重み付きゼータ関数を右固有値問題へ応用するためにそれまで課していた条件から、重み付き隣接行列と重み付き次数行列の同時三角化可能性へと緩和し、第２種重み付きゼータ関数の四元数量子ウォークへの適用範囲を拡大した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第２種重み付きゼータ関数の四元数化の成功は、第１種重み付きゼータ関数の四元数化とともに、グラフの非可換ゼータ関数の存在を強く支持しているといえる。非可換重み付きゼータ関数の定義と橋本型行列式表示はほぼ完成しており、伊原型行列式表示については、もう少し議論の整理が必要ではあるものの、一応の導出はできている。これらの結果は伊原ゼータ関数の非可換化の在り方を明らかにしており，グラフの非可換ゼータ関数論の実現が確実になってきたといえる。また、量子ウォークへの応用についても、四元数量子ウォークの場合、第２種重み付きゼータ関数の適用条件の緩和などの成果があり、応用面でも進展がある。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、非可換ゼータ関数について、オイラー積の定義と橋本型行列式表示および伊原行列式表示を完成させることに注力する。現在の煩雑な伊原型行列式表示を整理するとともに、母関数型表示の決定を目指す。さらに、非可換ゼータ関数の橋本型表示を修正することで第２種非可換ゼータ関数についても検討したい。また、四元数量子ウォークについては、グラフ上のSzegedy型の量子ウォークを四元数化し、右スペクトル問題を追及していきたい。
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| Causes of Carryover |
平成28年度にAMSのJoint Mathematics Meetingの量子ウォークセッションに出席する予定であったが、当該年度の量子ウォークセッションは開催しないことになったため、計画を変更し、国内の研究集会に出席することにしたため、未使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、Joint Mathematics Meeting等での発表は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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