2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05251
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石原 哉 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (10211046)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 構成的数学 / 逆数学 / 層モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1.構成的逆数学における未解決問題の解決と新たな公理の発見、2.層モデルを用いた公理や定理の体系的な分離手法の構築、3.分離手法などメタ理論の構成的数学の枠組みでの展開を目的とする。これにより、論理的公理・関数の存在公理のなす束構造の解明と解析が進展し、様々な公理を層モデルの性質により特徴づけ解析し研究をより高次な視点から深化させ、メタ理論を構成的数学の枠組みで展開し研究に数学的・技術的な貢献以上の意味・意義を与える。 平成28年度は、上記1~3それぞれに関して、今までの研究結果の調査を行い、いくつかの問題に対してケーススタディを行った。具体的には、 1.2進展開定理と中間値の定理は無限2分木に関する弱いKoenigの補題と深い関係がある。2進展開定理と中間値の定理と論理的にそれぞれ同値となる無限2分木に対する条件を解明した。2進展開定理は各レベルで高々2つのノードを持つ無限2分木に対する弱いKoenigの補題と論理的に同値であること、中間値の定理は各レベルのノードが凸集合をなす弱いKoenigの補題と論理的に同値であることを明らかにした。また、弱いKoenigの補題は制限されたド・モルガンの法則・可算選言選択公理と同値である。制限されたド・モルガンの法則を仮定すれば、2進展開定理はそれぞれのパスに沿って高々1回の選択が生じる可算選言選択公理と論理的に同値であること、中間値の定理は一度選択が生じるとその後は(選択が生じても)いずれを選択するかが決まる可算選言選択公理と論理的に同値であることを明らかにした。 2.位相空間上および完備ハイティング代数上の層を用いたモデルを基本的な文献に基づき調査した。 3.層モデルの理論を、Martin-Loefの型理論で自然に解釈できる、構成的(かつ可術的)集合論CZFで展開するための調査を基本的な文献に基づき行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の1.構成的逆数学における未解決問題の解決と新たな公理の発見、では2進展開定理おおび中間値の定理と論理的に同値となる条件の解明、それぞれに対応する可算選言選択公理の解明等、研究に大きな進展が得られた。一方2.層モデルを用いた公理や定理の体系的な分離手法の構築、3.分離手法などメタ理論の構成的数学の枠組みでの展開、では基本的な文献に基づく調査にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の1.構成的逆数学における未解決問題の解決と新たな公理の発見では、古典的逆数学において2進展開定理や中間値の定理と同様の振る舞いをするBaireのカテゴリー定理に注目し構成的逆数学の視点から解析を行う。2.層モデルを用いた公理や定理の体系的な分離手法の構築では、文献調査にとどまらず具体的なモデルの構成手法を1で明らかになった公理等の分離に実際に適用することによりケーススタディを実施する。3.分離手法などメタ理論の構成的数学の枠組みでの展開では、構成的(かつ可術的)集合論CZFにおける位相空間や完備ハイティング代数の取扱いを精査するとともに、formal topologyとの関係を調査し、2のケーススタディで用いた層モデルをCZFにおいて構成する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外での共同研究が様々な要因で実施できなかったため、海外旅費を使用しなかった。一方で、海外共同研究者が来日して共同研究を実施したため、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、数名の海外研究者を招へいし共同研究あるいは研究に対する助言を受ける予定である。そのための招へい旅費として使用する予定である。
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