2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05252
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 信行 静岡大学, 理学部, 教授 (60216421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非古典論理 / 述語論理 / 構成性 / omniscience principles |
Outline of Annual Research Achievements |
構成性(constructivity)は、数理論理学の重要な主題の1つである。特に、直観主義論理が持つべき基本的要請であり、構成的数学の研究における基本的概念である。これを特徴的に表現するとされる選言特性(disjunction property, DPと略記)と存在特性(existence property, EP)の2つの性質がある。これらの研究が、中間述語論理と直観主義的(構成的)数学の2つの分野で独立に進展しつつ、重なり合う部分があることが解ってきていた。本研究では、構成性(特にDPとEP)について、多層的に理解を深める絶好のチャンスをつかみ、直観主義的(構成的)数学の知見を吸収して、中間述語論理の研究を大きく前進させることを目的としている。 このため、構成的数学の研究者を連携研究者に迎え、本年度は、「分野を超えた基本概念の整理」を目標として研究をすすめた。異なる分野間での共同研究の際には、極めて基本的な事柄の共通理解の構築が必要である。特に、terminology の違いが微妙なものから大きなものまで多岐にわたる場合が多く、この初動の時期の「すりあわせ」が大きく進んだ。平成28年度は連携研究者と膝づめで討論し、それを持ち帰って熟慮し、また討論することを繰り返した。これを実行するため、国内出張を5回行った。連携研究者の都合と調整することにより、連携研究者の在籍する北陸先端科学技術大学院大学への出張を東京出張で代替えできたので、出張旅費の節約ができた。また、連携研究者に藤原誠氏(早稲田大学)と横山啓太氏(北陸先端科学技術大学院大学)を加えて、より強力な布陣を築くことができた。 国内学会で4件、国際学会(Logic Colloquium 2016, Leeds, UK)で1件の発表を行った。また、学術論文が1つ受理され、印刷中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、「分野を超えた基本概念の整理」を目標として研究を行った。中間述語論理と直観主義的(構成的)数学の2つの分野で独立に進展している諸概念のうち、本研究にかかわりの深い部分について相互理解がすすんだ。その過程で、自然数論の証明論やモデル論とのかかわりが重要であることもわかってきたので、連携研究者に石原哉氏・根元多佳子氏(北陸先端科学技術大学院大学)の他に、藤原誠氏(早稲田大学)と横山啓太氏(北陸先端科学技術大学院大学)の協力を得ることができる運びとなった。これにより強力で柔軟な布陣を築くことができた。6回の研究打ち合わせを行い、構成的数学から中間述語論理への橋渡しとなる手法について理解が進んだ。特に、自然数論の非標準モデルとKripke意味論の双方を扱う必要があることが明らかになり、今後の進捗に期待すべき段階に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは「両分野からの多層的な考察」を目指す。特に、Kripke 層モデルの構築における具体例の集積が重要との見込みですすめる。これによって両分野の手法の分析が可能になるであろうと予想している。前年度の成果に基づき、構成的数学における技術や成果を中間述語論理(特にKripke 型意味論の文脈) に持ち込むことを試みる。連携研究者との議論を中心に進める予定である。また、数理論理学の国内研究集会での資料収集も行う。さらに、進捗状況に応じて、構成的数学関連で外国を含めて出張し、関係資料の収集とディスカッションを行う予定である。他には、関連するセミナー(東京工業大学など) に出席するため、国内出張する。また、数理論理学の文献を資料を収集する。(資料の量が多くなることが予想されるので、謝金によって大学院生に資料の整理を手伝ってもらう予定である。) 設備費によって、構成的数学関係の文献を購入する。
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Causes of Carryover |
連携研究者との研究打ち合わせは、初期の計画上、連携研究者の在籍地である石川県能美市で行う予定であったが、連携研究者の東京出張に合わせて行うことができ、1回あたり35千円程度の節約を5回で、合計175千円程度の節約ができた。これを、翌年度有効に利用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より緊密に連携研究者との研究打ち合わせを行う。また、海外の研究者との打ち合わせのため、外国出張に振り分けることも視野に入れて、交渉中である。指導中の大学院生による学会出張により、より広範囲な情報収集を計画している。
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