2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05254
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 一弘 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 講師 (50514410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラフ理論 / 辺着色 / 辺彩色 / 異色全域木 / 異色全域林 / (g,f)異色全域木 / (g,f)異色全域林 |
Outline of Annual Research Achievements |
点や辺が着色されたグラフに単色の部分グラフを見出す研究は古くからあるが、単色でない部分グラフを見出す研究も活発化している。本研究課題では、”辺着色されたグラフ”や”平面上の色付き頂点集合の配置”に潜む単色でないグラフ構造を”色の偏り”という新たな視点から解明することを主目標としている。 全ての辺の色が等しい部分グラフを単色部分グラフ、逆に全ての色が異なる部分グラフを異色部分グラフという。また、同一の頂点につながっている辺同士は色が異なるように辺着色することを辺彩色という。単色や異色であるという条件は極端すぎるため応用範囲が限られる。異色部分グラフは、言い換えればどの色も高々1本しか許されないような部分グラフのことである。そこで過去に研究代表者は異色部分グラフを”色の偏りを許さないグラフ”とみなす新しい視点に気付き、色の偏りの許容範囲を指定できるようにした次の定義を新たに提案した。 定義:各色ごとに許容できる本数を関数g,f :色集合→非負整数集合 によって指定し、どの色cの辺もg(c)本以上f(c)本以下しかないような部分グラフとして一般化したものを(g,f)異色部分グラフと呼ぶ。 この定義の下、過去に研究代表者は(g,f)異色全域木が存在するための必要十分条件を示した。 昨年度は、この必要十分条件を用いて、辺着色完全グラフがm個の連結成分からなる(g,f)異色全域林を持つための十分条件をgとfで表せることを発見したが、その条件式をどのように解釈すればよいかが不明瞭であった。 今年度は、その条件式が、辺着色完全グラフにおける各色の出現率と、m個の連結成分からなる全域林の辺数との積に関する条件として表せることを発見した。その結果、元の辺着色完全グラフにおける各色の出現率とほぼ同等の色出現率を保ったm個連結成分全域林が存在することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
色の偏りに着目したことによって、元のグラフにおける各色の出現率を損なわない部分グラフに関する研究という新たな研究の方向性が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、異色部分グラフに関する研究を行う。既存の定理の(g,f)異色部分グラフへの拡張、BH予想の研究、(g,f)異色部分グラフ発見アルゴリズム、計算機実験等。
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Causes of Carryover |
524円であるから、概ね計画通りであると言える。
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