2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05256
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
丸田 辰哉 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80239152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 線形符号 / 最適符号 / 符号の拡張可能性 / 有限射影幾何 / Griesmer 限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
q 元体 F_q 上の長さ n, 次元 k, 最小重み d の線形符号([n,k,d]q 符号)が存在する限界を決定する問題(特に、[n,k,d]q 符号が存在するような長さ n の最小値 n_q(k,d) を求める問題)は、符号理論において最も基本的な研究課題の一つであり、最適線形符号問題(Optimal Linear Codes Problem)と呼ばれる。線形符号が拡張可能であるための条件を新たに求める研究、拡張定理を用いた Griesmer 符号等の非存在証明、新しい線形符号のコンピュータによる探索と分析、arc や blocking set といった有限射影幾何の特殊な構造を用いた新しい符号の構成等を通して、最適線形符号問題の解決を目指すのが本研究の主目的である。 本年度は、主に8元体上の最適な4次元線形符号(n_8(4,d) の決定問題)について取り組み、有限射影幾何の超平面に関する blocking set について知られている結果を用いた非存在証明や新しい符号の探索で得られた符号の一般化を行い、大学院生と共に、国際会議 OC 2017 (8th International Workshop on Optimal Codes and Related Topics) で報告した。また、最適線形符号のマトロイドへの応用として、線形空間の Critical Problem について、昨年度から引き続き熊本大学の城本啓介教授と共同研究を行い、得られた成果を国際学術雑誌 Designs, Codes and Cryptography に投稿し、掲載が決定した。更に、最適な5元5次元線形符号の問題にも取り組み、コンピュータを用いた探索の結果、今まで最適線形符号を構成するために使われた QC (quasi-cyclic) 符号や QT (quasi-twisted) 符号とは異なる構造を持つ符号の構成について、新たな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、8元体上の最適な4次元線形符号については多くの成果が得られ、国際会議発表論文として発表することができた。4元線形符号については、拡張可能性に関する最近の結果を用いて、新たな5次元符号の非存在証明が得られた。また、最適な5元5次元線形符号の問題にも取り組み、コンピュータを用いた大規模探索を行って、今までの QC 符号や QT 符号とは異なる構造を持つ符号の構成にも挑戦し、一定の成果を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
4元線形符号については、拡張定理を応用して、n_4(5, d) の値が未決定な場合の検討を引き続き行う。また、新たに得られた最適な5元5次元線形符号については、その幾何学的な構造を詳細に調査し、一般の有限体上での構成方法を構築する。 線形符号の非存在証明については、projective dual を用いた divisible な Griesmer 符号の非存在証明に取り組む。その際に必要な4次元以下の最適線形符号の分類については、ブルガリア科学アカデミーの Bouyukliev 教授に協力を要請する予定である。 また、熊本大学の城本啓介教授との共同研究も引き続き行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由:当初予定していた海外出張の一つが先方の都合で実施できなくなり、次年度使用額が生じた。 使用計画:次年度予算と合わせて、大学院生を伴う国内外の出張旅費やパソコン等の購入に使用する予定。
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