2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05260
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
中上川 友樹 湘南工科大学, 工学部, 教授 (20386890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 雅 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (60323458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グラフパズル / グラフの自己同型群 / グラフの石交換群 / コードダイアグラム / インターレースグラフ / Tutte多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Graph Motion on Graphs 有限無向グラフGを盤グラフかつ交換可能性グラフとするパズル(G)を考える。Gの頂点集合からそれ自身への全単射写像fを、このパズル(G)の配置と呼ぶ。そのときの対応y=f(x)を、盤の頂点xを石yが占めていることとみなす。配置fと盤の2つの頂点u,vについて,uv とf(u)f(v)のいずれもがGの辺になっているとき、石f(u)と石f(v)を交換して新たな配置をつくる操作をパズル(G)の手という。配置f から有限回の手により配置gが得られるとき、fとgは同値であるという。恒等写像1と同値なGの自己同型全体はGの自己同型群の部分群となる。これをGの石交換群と呼ぶ。平成29年度に次の定理を証明した。定理:任意の連結グラフGについてGの2乗の石交換群はGの自己同型群を含む。 2. コードダイアグラムの展開数 円における弦の集合で、どの2つの弦もその端点を共有しないとき、その集合をコードダイアグラムと呼ぶ。コードダイアグラム E が交差する2本の弦 S を含むとする。このとき、Sを解消するようにE を新たな2つのコードダイアグラムに置き換えることをEの展開と呼ぶ。どのようなコードダイアグラムE についても、それを出発点として展開を繰り返し、非交差コードダイアグラムまで展開し尽くすことができる。このとき、最終的に生成される非交差コードダイアグラム全体の重複集合の位数は,展開の仕方に依らず E のみで決まる。それをEの展開数と呼ぶ。一方、数え上げ関数としてグラフGのTutte多項式t(G;x,y)がよく研究されている。平成29年度に、与えられたコードダイアグラムEの展開数f(E)は、f(E)=t(G_E;2,-1)と表わされること、およびそれに関する諸事実を論文発表した。ここで、G_EはEに自然に対応するインターレースグラフである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. Graph Motion on Graphs 石交換パズルの代数的な側面については、昨年度に途中経過を2017年12月に龍谷大学における応用数学合同研究集会研究集会で発表した。その際に、パスフリップという新たなグラフパズルの操作を導入することにより,未解決であった問題を解決することができた(「研究実績の概要」で示した定理)。しかしながら、論文としては未発表である。また,石交換パズルの極値問題としての側面については、研究が停滞している。 2. コードダイアグラムの展開数 与えられたコードダイアグラム E に対して、f(E) は t(G_E; 2,-1) で与えられることを2017年9月にウィーンでの国際会議 EuroComb'17 で発表し,それを主結果とする論文を論文誌Discrete Mathematics に発表した。この論文では、他に完全多部コードダイアグラムの展開数の指数型母関数の公式を得ている。また、展開の重複度についても調べており、n-交差C_nの展開により得られる非交差コードダイアグラム F の重複度 m(C_n,F) が 1 であるための必要十分条件を確定している。重複度についてはほとんど解っておらず、その解明は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Graph Motion on Graphs まず,石交換パズルの代数的な側面については、最新の結果まで含めた論文としてまとめ直し、発表する必要がある。研究の方向性として、新たに導入した操作(パスフリップ)に関する研究を進めることも検討する。従来考えてきた操作(辺のフリップ)に比べてパスフリップによる操作は自由度が高く、パズルがfeasibleになるグラフの対の組は増加する。例えば、任意の完全2部グラフGと任意の連結グラフHについて,パズル(G,H)はパスフリップのもとでfeasibleである。 辺のフリップとパスフリップの違いについて考察することは今後の研究課題の一つである。 2. コードダイアグラムの展開数 展開数とTutte 多項式の関係については前年度に国際会議および論文誌で発表した。また、与えられたコードダイアグラムから展開される非交差コードダイアグラムの分布についても,その端緒となる性質を同論文で明らかにしている。従来の単に展開数を求める研究から、展開の分布を求める研究に発展させていく方法を探っていく。
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Causes of Carryover |
残額が1万円程度と少額であるため、年度内に使い切るよりも次年度に繰り越した方が効率的に使用できるため。
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Research Products
(5 results)