2017 Fiscal Year Research-status Report
グラフの部分構造の存在を保証する条件の関係性に関する研究
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16K05262
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山下 登茂紀 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10410458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)千葉周也氏(熊本大学)との研究で得られた「指定された頂点集合に対して,それらをちょうど1点ずつ含む閉路にグラフを分割するための次数和条件」に関する結果をまとめた論文が2017年4月国際雑誌に掲載され,「2部グラフにおいて指定された個数の閉路にグラフを分割するための次数和条件」に関する結果をまとめた論文が2017年12月国際雑誌に掲載され,「2部グラフにおいて指定された完全マッチングに対して,それらをちょうど1辺ずつ含む閉路にグラフを分割するための次数和条件」に関する結果をまとめた論文が2018年2月国際雑誌に掲載された. (2)千葉氏と,「グラフに複数の閉路または道が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文を執筆し,その論文が2018年1月国際雑誌に掲載された. (3)第 14 回組合せ論若手研究集会において,「複数の閉路および複数の道が存在するための次数和条件」というタイトルで講演を行った. (4)Guantao Chen氏(Georgia State University),千葉氏,Ron Gould氏(Emory University),Xiaofeng Gu氏(University of West Georgia),斎藤明氏(日本大学),津垣正男氏との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点で,密なグラフには部分構造として密な2部グラフが存在することを証明して,その結果を論文にまとめた. (5)津垣氏との研究で,「2部グラフにおいて指定された頂点を葉とする全域木が存在するための次数和条件」を得た.この結果に関して,津垣氏が第 14 回組合せ論若手研究集会で「2部グラフが S-leaf-connected となるための次数和条件」というタイトルで講演を行い,さらに,論文としてまとめて投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)研究目的の1つである「定理間の関係性に関する研究」に対して,研究協力者である千葉周也氏(熊本大学)との研究で,グラフに複数の閉路または道が存在するための次数和条件についてのサーヴェイ論文を執筆し,その論文が国際雑誌に掲載された.サーヴェイ論文の中で多くの定理を比較し,それら定理間の関係性について述べている. (2)研究目的の1つである「条件間の関係性に関する研究」に対して,「2部グラフにおいて完全マッチングを含む閉路が存在するための次数和条件」と「有向グラフにおいて有向閉路が存在するための次数和条件」の関係性に注目した千葉氏との研究成果が国際論文に掲載された.また,そこで得られた知見から「2部グラフにおいて複数の閉路が存在するための次数和条件」に関する結果を得た.その結果をまとめた論文が国際雑誌に掲載された. (3)Chen氏,千葉氏,Gould氏,Gu氏,斎藤氏,津垣氏との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点で,密なグラフには部分構造として密な2部グラフが存在することを証明し,その結果を論文としてまとめた.これは研究目的である「定理間の関係性に関する研究」と「条件間の関係性に関する研究」の2つに関連する研究となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)申請時の研究計画として,「サーヴェイ論文の作成」があった.研究協力者である千葉氏との研究である「グラフに複数の閉路または道が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文が国際雑誌に掲載された.今後2年かけて,1つの閉路に関する次数和条件についてのサーヴェイ論文を執筆する予定であり,そのための情報収集を行う. (2)以前,藤沢潤氏(慶應義塾大学)との共同研究で提案した予想に関連する論文が発表された.その証明はこれまでの証明方法とは異なっており,この方法を発展させることで予想の解決を図ることができないか模索する.この研究は研究目的の1つである「条件間の関係性に関する研究」に関連している.藤沢氏はもちろん,千葉氏との研究を行う予定である. (3)閉路に限らずグラフ理論には,regularity lemmaを用いて部分的解決を得ている予想が数多く存在する.regularity lemmaに関連する論文を読んで,その使い方を習得して今後の研究を円滑に進めようと考えている.そのため,小関健太氏(横浜国立大学),前澤俊一氏(横浜国立大学),千葉氏と連携しながら,勉強および研究を進めていく予定にしている.
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Causes of Carryover |
(理由)研究協力者である千葉周也氏の所属する熊本大学に数回出張をする予定にしていたが,大学祭期間中に長期出張することができたため,出張が1回分軽減できた.
(使用計画)慶應義塾大学で開催されている組合せ論のセミナーに参加する出張費として使用する.
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Research Products
(4 results)