2017 Fiscal Year Research-status Report
遅延微分方程式より生ずる非線形固有値問題の解に対する精度保証付き数値計算法の研究
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16K05270
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮島 信也 岩手大学, 理工学部, 教授 (20367072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 遅延微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
理工学においては,現象を理解するために数理モデルが作られ,これらのモデルを解くことによって,未知の現象の予測や新たな工学的製品の設計等が可能となる.これらのモデルは解析的な手法で解くことが困難であるため,計算機を用いた数値計算により解かれることが多い. 計算機を用いた数値計算では,その計算は正確には行われない.四則演算の結果はその都度有限桁に近似され,極限を含む無限演算は全て有限演算に近似される.計算結果から正しい結論を得るためには,計算結果の誤差評価を行って,厳密解の存在範囲を確定する必要がある.これを行う方法が精度保証付き数値計算法であり,従来の数値計算の枠組みでは近似解を求める道具であった計算機を用いて厳密解をも捉えることを可能にする. 平成29年度に,遅延微分方程式より生ずる非線形固有値問題の解に対する精度保証付き数値計算法についてまとめた論文が雑誌に掲載された.固有値が単根である場合に,この方法は計算された区間に属する固有値は一意であることも保証する.また,この方法は固有値が重根の場合にも適用可能である. これに加え,上記の方法を構築する中で得られた知見を活かして,離散時間代数リッカチ方程式の解,対称逆固有値問題の解,輸送理論に現れる代数リッカチ方程式の解,行列のp乗根に対する精度保証付き数値計算法を構築した.これらの方法についてまとめた論文も平成29年度内に雑誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題である遅延微分方程式より生ずる非線形固有値問題の解に対する精度保証付き数値計算法についてまとめた論文が雑誌に掲載され,さらに「研究実績の概要」欄で述べたその他の方法についてまとめた論文も雑誌に掲載されたため.
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Strategy for Future Research Activity |
遅延微分方程式より生ずる非線形固有値問題の解に対する精度保証付き数値計算法を構築する中で得られた知見を活かして,行列二次方程式,非対称代数リッカチ方程式の解に対する精度保証付き数値計算法等を確立する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:1回の学会で複数件の講演を行い、旅費を節約したため。
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:より多くの学会に参加する。
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Research Products
(16 results)