2016 Fiscal Year Research-status Report
多次元化と構造化による新規系列の生成法とその数理と応用
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16K05281
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
林 隆史 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20218580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 多可雄 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (00264565)
渡辺 曜大 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (70360675)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 零相関範囲系列 / 完全二分木 / 系列設計 / 合成開口 / 超音波イメージング / パルスレーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
構造化零相関範囲系列セットの一つとして、二分木に対応付けできる系列セットの構成方法を発見した。この系列セットは3値(±1と0)系列で構成され、n次のアダマール行列から生成され、非負整数のパラメータmに対して、長さn^{4m} + 2^{m+1} (2^m -1)の系列をn2^m本の系列をもつ。系列セットは、2^m本の系列からなるサブセットをn個している。系列セット全体としての零相関範囲は2^m-1である。長さn^{4m} + 2^{m+1} (2^m -1)あたりの非零要素の数はn^{4m}で、非零要素の割合は常にn/(n+2)より大きい。n個のサブセットは、深さnの完全二分木の葉に対応づけることができる。サブセット間距離をこの系列長に等しいものと定義することができる。異なるサブセットに属する系列間の零相関範囲は、それぞれの系列が属するサブセット間の距離にほぼ比例した零相関範囲を有する。この性質を使うことで、従来よりも高い性能をもった合成開口イメージングや通信が可能になる。超音波イメージングへの応用では、超音波トランスデューサーの配置を工夫し、トランスデューサー間の距離の長短が、それぞれのトランスデューサーで用いる系列の属する系列サブセット間の距離の長短と一致するようにすることで、従来の零相関範囲系列セットの応用よりもクリアなイメージを得ることができた。現在その応用についての検討を進めている。さらに、系列構成法を改良して4分木に対応するものを発見し、その性質や応用についての検討を開始した。2次元の2値(±1)の零相関範囲系列を用いた物性測定についての新しい方法についての検討を行い、いくつかの知見を得ることができたので、新しい応用についての検討をさらに行う。これまでの成果をベースにして、上記以外の新規系列生成法の検討も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、検討開始初期に、構造を持った系列セットの新規構成方法についていくつかの発見をすることができた。そこで、平成28年度は、本課題のうち、構造を持った系列セットの検討を重点的に行った。その中で、構造化零相関範囲系列セットの最大の目標である、木構造に対応し対応木構造の葉間の経路長にほぼ比例した零相関範囲を持った系列セットの構成方法を開発することができた。構造を持った系列セットの研究は、当初の計画以上の進捗であった。一方で、構造化系列セットの検討に注力したため、高次元系列の検討と新規物性計測法の検討は計画よりやや下回る進捗となった。本研究の成果として3編の論文を投稿中である。 これらを総合して、概ね順調に進捗していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は、概ね予定通りに進めていくが、平成28年度に完全二分木に対応づけのできる零相関範囲系列セットの構成方法を発見することができたので、平成29年度前半は、この系列セット構成方法に関連した研究を集中的に進める。この系列セットの検討では、構造化とともに本研究課題の柱である多次元化や多次元データ処理への応用も併せて行う。新たな検討項目として、3次元空間を移動する機器間の無線通信や、3次元空間を移動しながら計測を行うシステムの検討を行う。平成28年度中は、構造化系列セットの検討を中心に進めたので、平成29年度後半は多次元化の検討を前述の多次元空間での応用と合わせて検討を進めていく。平成28年度に開始した機械学習を用いた系列探索とパターン認識への系列の応用の検討を継続する。物性測定システムに関する検討については、物性研究者との連携を強化して進めていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度に投稿し、査読の結果受理された論文の印刷発行が平成29年度になり、その論文掲載料の支払いが平成29年度になることが判明したため、その分の予算を平成29年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に投稿し、査読の結果受理され、発行が平成29年度になった論文の論文掲載料の支払いに使用する。
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