2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05284
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長井 英生 関西大学, システム理工学部, 教授 (70110848)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大偏差確率制御 / HJB 方程式 / リスク鋭感的確率制御 / 有効領域 / ベンチマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
非完備な市場の数理モデルにおいて、ランダムなベンチマークがある場合のダウンサイドリスク最小化問題を考察し、大偏差確率制御問題として定式化した。すなわち、資産価値過程が、与えられたベンチマークの成長率と比較して下回るリスクを時間大域的に最小化する問題を、大偏差確率の最小化問題として捉え、その問題と、リスク鋭感的確率制御問題との双対性を示すことにより、考える最小化確率を達成する、漸近的最適戦略の構成を、HJB 方程式の解から具体的に構成すること、および、その確率評価を行う意味のある有効領域の検討を行った。そして、具体的な計算が可能となる、線形ガウス型モデルで、詳しい定量的な 解析を行い、一般的なモデルの考察の指針とした。結果、リスク鋭感的問題との双対性に関しては、ベンチマークがない場合と同様の結果を得たと同時に、ゲーム論的な視点を導入することにより、その証明が見通しの良いものに改良された。有効領域の考察に関しては、線形ガウス型モデルの場合に、詳しい計算を通じて、ベンチマークのない場合との著しい違いが、すでに、得られていたが、スケール極限の導入により、一般的なモデルに対しても、一定程度の解析が進められることが分かった。今後、考察を、さらに深めて、線形ガウス型モデルで得た計算結果からわかるのと同程度の解析まで進めることが課題となっている。 さらに、現実的には、考察するモデルが不確かさを持つと考えられることから、不確かさを容認したモデルの下でも同様の問題を考察した。不確かさを容認しない場合と同様の結果を得るとともに、不確かさに起因する違いが、有効領域の範囲の違いに現れる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大偏差確率制御とリスク鋭感的確率制御の双対性にかかわる部分の解析に関しては、おおむね、期待通りに進行している。一方、有効領域の解析に関しては、順調に進行している部分と、今後の研究の課題として残されている部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
大偏差最小化確率の評価が意味のある、有効領域の範囲を決定するための解析を中心に進める。右端点と左端点とは、異なるスケーリングを行ったHJB 方程式の解析を進めることにより、研究を推進する。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が、予定より安価にとどまり、微小な残額が生じた。次年度使用する予定の物品費の一部に使用することを計画している。
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