2018 Fiscal Year Research-status Report
ケプラー宇宙望遠鏡と星震学手法による不可視連星大質量天体と褐色矮星及び惑星の探査
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16K05288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴橋 博資 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (30126081)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 星震学 / 脈動星 / 連星 |
Outline of Annual Research Achievements |
脈動の位相変化から連星軌道要素を決定する方法を確立させ、ケプラー宇宙望遠鏡のデータのうち、当初の目標としていたスペクトル分類A型及びF型の主系列星の脈動星は全て解析が終了した。これにより、軌道運動による視線方向の速度変動を一つ一つの星について地上観測から測定せねばならない分光観測に基づく(分光連星)方法よりも、特定の種類の脈動星に限られる解析にもかかわらず、スペースからの測光観測に基づく本研究の方法の方が、遥かに効率良く大量の連星の軌道要素を決められることを実証しえた。 結果として、軌道要素の確立した連星の数は倍以上に増え、連星の研究は、十分に意味のある統計的研究が可能となることになったと言える。連星の軌道要素のうち、軌道傾斜角は不定のまま残るため、連星の相手の星の質量は下限値しか求められない。そのため、連星を構成する二つの星の質量そのものの比の分布は従来は決められなかったのであるが、本研究によりサンプル数を増やすことができたので、統計的扱いによって質量比分布を求める方法を定式化した。新たな統計的研究の第一歩である。 派生的研究として、スペースからの測光観測では通信量制限のためにデータ取得の頻度が自由にはならないことによる不都合を克服する方法を提案した。数学的解析に基づく明快な方法である。併せてシミュレーションも実行し、方法の有効性を例示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脈動の位相変化から連星軌道要素を決定する方法を確立させ、ケプラー宇宙望遠鏡のデータのうち、当初の目標としていたスペクトル分類A型及びF型の主系列星の脈動星は全て解析が終了した。これにより、軌道運動による視線方向の速度変動を一つ一つの星について地上観測から測定せねばならない分光観測に基づく(分光連星)方法よりも、脈動星に限られるとは言え、スペースからの測光観測に基づく本研究の方法の方が、遥かに効率良く大量の連星の軌道要素を決められることを実証した。これにより、連星の研究は、十分に意味のある統計的研究が可能となることになる。中には、連星中の双方の星が共に脈動しているものもあり、分光連星でいうSB2に相当する。 連星の軌道要素のうち、軌道傾斜角は不定のまま残るため、連星の相手の星の質量は下限値しか求められない。そのため、連星を構成する二つの星の質量そのものの比の分布は従来は決められなかったのであるが、本研究によりサンプル数を増やすことができたので、統計的扱いによって質量比分布を求める方法を定式化した。新たな統計的研究の第一歩である。 また、当初の計画にはなかった、派生的研究を実施することも出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
連星の軌道要素のうち、軌道傾斜角は不定のまま残るため、個々の連星の相手の星の質量は下限値しか求められず、そのため、連星を構成する二つの星の質量そのものの比の分布も従来は決められなかったのであるが、本研究によりサンプル数を増やすことができたので、統計的扱いによって質量比分布を求めることを試みる。 これまでの解析により、主星との質量比が0.1以下の矮小な伴星も多く検出された。その中には、白色矮星、褐色矮星、惑星も含まれている。今後は、併せて、逆に主星よりも伴星の方の質量が大きく、しかしながらも伴星からの光を検出できない、中性子星とブラックホールの検出を目指したい。ケプラー宇宙望遠鏡の遺産であるデータの解析を引き続き行うほか、新たにリリースされ始めたTESS衛星によるデータをも扱っていく。 引き続き、PLATO衛星を始めとする将来のスペースからの測光観測の有効利用を提言するための研究も並行して進める。
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Causes of Carryover |
当初、当初2019年2月に行われる予定であった国際研究会の日程が、主催側の財政を含む諸事情により、2019年8月の開催に変更となってしまったため。招待講演でもあり、また、国外研究協力者の講演もあるため、研究会主催者からも、参加を強く要請されているので、本研究費を旅費として使用する。
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Research Products
(9 results)