2017 Fiscal Year Research-status Report
乱流粒子加速に基づく高エネルギー天体現象の新たな描像
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16K05291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 勝晃 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (80399279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺木 悠人 旭川工業高等専門学校, 一般理数科, 講師 (40733093) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乱流 / 粒子加速 / パルサー星雲 / 活動銀河核ジェット / 非熱的放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
パルサーの周囲で輝くパルサー星雲は、中心パルサーから噴き出す相対論的な電子・陽電子プラズマ風が衝撃波で減速し、そこで粒子加速を起こし、電波からガンマ線に至る放射を放っていると考えられてきた。しかし、電波観測から評価される電子・陽電子の数は、理論的に計算されるパルサーから供給される数と比べてはるかに多い。さらに、その電波のスペクトルは非常にハードで、標準的な衝撃波加速では説明が難しい。我々はパルサー星雲の電波放射は、周囲のプラズマを乱流で加速したものと考え、加速粒子からの放射を計算した。我々のモデルは、電波放射をうまく説明することに成功し、乱流加速の可能性を示した。また、様々なブレーザーの放射を乱流加速モデルで説明しようと、我々のモデルを適用した計算も行ってきた。観測データを提供してくれた、観測チームの都合で未だ論文にはできていないが、計算そのものは既に終了し、次年度には出版できる見込みである。乱流加速の基礎論についても研究を進めた。乱流加速では粒子が波動とジャイロ共鳴することで、粒子が散乱され、加速されると考えられてきたが、Fast WaveやSlow Waveとの相互作用ではTransit Time Damping(TTD)と呼ばれる別な共鳴が、粒子との相互作用を主に担っていることを示した。従来の見積りでは、このTTD共鳴は相対論的な粒子に対しては非効率であると考えられてきたが、有限振幅の効果を取り入れることで、共鳴粒子が格段に増えることがわかった。この成果は旧分担者の寺木氏(彼の異動に伴い、やむなく分担から外れることとなった)の成果だが、次年度には出版できると見込んでいる。また、今年度は、隣接分野である衝撃波粒子加速を前提とした研究成果も多数発表することができた。重力波が検出された中性子星連星合体事象からの電磁波放射が観測されたのだが、その放射を論じた論文も発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乱流加速を数値シミュレーションで模擬し、そこからの放射で観測を説明すると言う試みはかなり成功しており、論文として発表してきた。今後も出版を待つ成果が多数ある。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の著名なブレーザーからの放射を乱流加速で説明する計算は観測と良い一致を見せた。これを論文にまとめる。乱流加速の基礎論を担当していた分担者が一人減ったが、彼の研究成果はかなりまとまっており、これも近日中に発表できると考えている。
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Causes of Carryover |
他予算との兼合いから1割弱の執行誤差が生じた。少額なので来年度の投稿料、旅費などで執行する予定である。
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Research Products
(17 results)