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2016 Fiscal Year Research-status Report

一般相対論的ART法による超巨大ブラックホール形成と成長過程の研究

Research Project

Project/Area Number 16K05302
Research InstitutionTomakomai National College of Technology

Principal Investigator

高橋 労太  苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40513453)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 梅村 雅之  筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords輻射流体 / 一般相対論 / ブラックホール / ボルツマン方程式 / モンテカルロ計算
Outline of Annual Research Achievements

本研究の研究代表者と分担者が過去に開発した一般相対論的光子ボルツマン方程式ソルバーARTISTは、湾曲時空の輻射流体内の光子の放射・吸収・散乱の物理素過程を因果律を保って計算することができる。散乱に関しては、光学的に薄い場合は、ARTISTコードで高精度に解くことができるのであるが、光学的厚みが非常に大きく、光子の多重散乱の効果が本質的に重要となる場合は正確に計算することができない。多重散乱により光子が拡散していく過程は、原子スケールの散乱過程が繰り返し起こることにより記述される。光学的に厚い状況と薄い状況の間では、多重散乱の過程と湾曲時空の効果が両方とも効くが、因果律を保って繰り返される多重散乱過程をマクロな視点で見た場合に、どのように時空湾曲の効果が効き、どのように多重散乱の効果が効くのかがわかっていない。このマクロな視点に関する基本的な知見がないと、一般相対論的光子ボルツマン方程式を物理的かつ数値的に正確に解いた上での数値シミュレーションを実行することは不可能である。
このような状況を踏まえ、本研究の前半の主目標は、湾曲時空における光子の多重散乱のマクロな視点を得ることである。具体的には、ある有限の時間ステップの後、散乱光子の情報がどのように空間的に伝わるのかを調べる。そのために、本年度は相対論的なモンテカルロ計算コードを開発した。このコードにより、光子散乱を起こす原子のローレンツ因子が最大1000程度までの状況で、1億個の光子を用いた計算を実行した。これらの計算により、相対論的多重散乱を理解する枠組みを得ることができた。過去の主要な研究結果の中に、因果律を破っているものが存在すること、シミュレーション結果の一部は解析的に書くことができ、大局的な輻射輸送シミュレーションに組み込むことが可能であることもわかった。これらの結果を報告する論文は現在作成中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の第1ステップでは、相対論的モンテカルロ計算コードを開発し、光子の多重散乱の効果と相対論効果の両方の効果が効く場合の、散乱過程に関するマクロな視点を得ることを目標としていた。相対論的モンテカルロコードは予定通り完成し、1億光子を用いたモンテカルロ・シミュレーションを行った。これらのシミュレーションの結果、相対論的効果と多重散乱の効果がどのように働くのか、因果律を保ちながら多重散乱の光子がどのように伝搬していくのか、これらを全てのパラメータ領域で知ることができた。シミュレーションの結果から、相対論的多重散乱の現象を理解する比較的シンプルな枠組みを得ることができた。また、これらのシミュレーションの結果の一部を記述する解析式を見つけたことと、過去の主要な研究に因果律を保っていないものが存在することなどの当初予想していなかった知見を得ることもできた。これらの結果を報告する論文は、現在執筆中である。以上の進捗状況を踏まえ、現時点で本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

まず、初年度の相対論的モンテカルロ・シミュレーションにより得られた知見を論文として公表する。この結果を、本研究の研究代表者と分担者が開発した一般相対論的輻射輸送シミュレーション・コードARTISTに組み込むことを予定している。また、相対論的モンテカルロ計算を一般相対論的な状況に拡張すること、任意の時空・流体温度・光子エネルギーを扱えるように散乱過程を一般化することも状況をみて行う予定である。

Causes of Carryover

本研究の初年度では、相対論的モンテカルロ計算コードを開発し、相対論的状況での多重散乱の効果を調べた。これらの計算は一般に重いため半精度の計算が可能なNvidia GPUを購入し、計算する予定であった。既存の計算機でコード開発し、既存の計算機で計算ができなくなったところで、新規GPUによる計算に切り替える予定であった。必要な計算パラメータ領域の計算が予想よりも重くなかったことの他、計算アルゴリズムを工夫したところ、今年度、目標としていた計算は、新規GPUを使用することなく実現することができた。そのため、今年度のGPUの購入を見送った。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本研究の目標を達成するために、既存の計算機で数値シミュレーションを実行することができなくなった段階で、半精度計算が可能なNvidia GPU、もしくは、これらを搭載した計算機を購入する予定でいる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] General relativistic radiative transfer code in rotating black hole space-time: ARTIST2017

    • Author(s)
      Rohta Takahashi, Masayuki Umemura
    • Journal Title

      Monthly Notices of the Royal Astronomical Society

      Volume: 464 Pages: 4567, 4585

    • DOI

      10.1093/mnras/stw2479

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] Effects of two successive parity-invariant point interactions on one-dimensional quantum transmission: Resonance conditions for the parameter space2016

    • Author(s)
      Kohkichi Konno, Tomoaki Nagasawa, Rohta Takahashi
    • Journal Title

      Annals of Physics

      Volume: 375 Pages: 91, 104

    • DOI

      10.1016/j.aop.2016.09.012

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ARTISTコードによる一般相対論的輻射輸送シミュレーション2017

    • Author(s)
      高橋労太
    • Organizer
      ブラックホール磁気圏研究会2017
    • Place of Presentation
      南紀白浜「ホテル三楽荘」会議室(和歌山県)
    • Year and Date
      2017-03-04 – 2017-03-04
    • Invited
  • [Presentation] ARTISTコードによるブラックホール時空での一般相対論的輻射輸送シミュレーション2016

    • Author(s)
      高橋労太、梅村雅之
    • Organizer
      日本天文学会、2016年秋季年会、S01a
    • Place of Presentation
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • Year and Date
      2016-09-14 – 2016-09-14

URL: 

Published: 2018-01-16  

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