2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Supermassive Black Hole Formation and Growth Process by General Relativistic ART Method
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16K05302
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 労太 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (40513453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 雅之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一般相対論 / 巨大ブラックホール / ボルツマン方程式 / 輻射輸送 / 光子 / 散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大ブラックホールの形成過程は未だ未解決である。また、赤方偏移7を超えるクェーサーの発見は数億太陽質量の超巨大ブラックホールが宇宙年齢わずか8億年の時期に存在することを示唆する。この短期間に質量降着により、この質量を獲得しようとする場合には超臨界降着と呼ばれるエディントン比が1を大きく超えるような降着が必要となるが、輻射性フィードバックのため、このような降着は困難であるという指摘もある。超臨界降着は輻射優勢のガス降着であるため、輻射圧に妨げられない降着を実現する必要があり、それを可能とする物理過程として光子捕獲がある。この光子捕獲では、輻射性拡散(光子多重散乱)によって、輻射が降着流から脱出する前にブラックホールに吸い込まれる。この問題の正確な答えを得るためには、ブラックホール周囲の湾曲時空において、因果律を厳密に保ちながら光子多重散乱の物理過程を厳密に解く計算技術が必要となる。本研究の研究代表者と分担者が開発したARTIST法(Takahashi & Umemura 2017)は、回転ブラックホールの赤道面における動的な光子輻射場の物理過程を扱う手法として提案されたが、空間3次元に拡張する必要と光子多重散乱を厳密に扱うことができるように改良する必要があった。空間3次元に拡張する方向は、分担者が所属する機関における専門家と共同で進めた。その過程で、オリジナルのARTIST法で光子数が厳密に保たれる計算方法が考案され、複数のテスト計算が実行された。また、空間3次元に拡張する方向も部分的に行われたが、現時点でまだ完成していない。一方、光子多重散乱を厳密に扱う手法は、昨年度までに解析的な手法を拡張することで完成に向かっている途中段階にある。これらの成果の一部は学会発表などで公表されたが論文出版までには至らなかった。
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