2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05308
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
坪井 昌人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (10202186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 亮介 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (90209958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 銀河系中心 / 大質量星 / 星形成 / 星団形成 / ブラックホール / 中間質量ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は銀河系中心にある大質量星の星団である『中心星団』の起源をALMAを利用して観測的に明らかにすることである。中心付近では中心ブラックホール、すなわち銀河系中心SgrA*の潮汐力と紫外線による電離のために円盤部と同様の星形成は不可能である。我々の 仮説は外側で星形成が起こった分子雲が中心に落下し大質量星を供給するというものである。H29年度は1)ALMAを用いた100GHzの観測で銀河系中心核SgrA*に近づく電離されたガスの流れである『銀河系中心ミニスパイラル』の力学的構造について詳細な解析を行い、Astrophysical Journalに査読論文として発表した。Barと呼ばれる構造が離心率の大きなケプラー軌道にあることを発見した。2)ALMAを用いて200, 350GHzで銀河系中心核SgrA*の近傍を観測して、先端がわずか数100天文単位に絞られた、そして速度幅650km/s以上を持つ電離ガスの流れを発見した。軌道運動の解析から銀河系中心にあるがそれとは別のブラックホールがないと説明できない現象であることがわかった。その質量は10^4太陽質量であり、理論から予想される中間質量ブラックホールの質量と一致する。中間質量ブラックホールの状況証拠は幾つかの天体で発見されているが、今回のようにその周りを数百km/sで軌道運動するコンパクトな電離ガスの発見は初めてである。中心に落下するガスは銀河系中心核だけでなくこのような天体にも降着しているのであろう。この結果をAstrophysical Journal Letterに査読論文として発表した。またALMA longest baseline WSで口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALMAの観測が好気象条件に恵まれ予想以上にデータを取得できた。このため解析には予想よりも計算機資源を多く消費することがわかったが、新たな計算機を校費等で購入し充当した。これにより現在までのところほぼ予定通りにデータ解析が進めることができた。そのため、新しい発見を含む結果を得ることができた。この成果は国際会議で口頭発表することができた。また査読論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ALMAの観測は好気象条件に恵まれ予想以上にデータを取得できた。この研究の方法論は当初は銀河系中心にある分子雲、電離ガスの構造と運動を明らかにすることであったが、それらに加えて銀河系中心にある星(O型星などに限られるが)も検出されているようである。星の運動が新たに加わるので、これらを総合的に解析することに最終年は集中したい。
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Causes of Carryover |
実際の物品購入時にわずかに残額が出たため、次年度の学会出席の旅費に合わせて使用する予定である。
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Research Products
(8 results)