2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05312
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 拓也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90595646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 数理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度の研究では、前年度までに引き続き2次元の超対称性を持つゲージ理論の研究を進めた。 ヤヌス・インターフェイスと呼ばれる、それをまたぐと場の理論の結合定数が変化するような1次元的な非局所的演算子を、背景場を超場の一成分とみなすことにより構成した。またそのようなインターフェイスが超対称な2次元球面上に存在する状況を考えて、超対称局所化により分配関数を計算することに成功した。これにより、理論が共形場理論に低エネルギーで帰着する場合に、インターフェイスに付随するある種のエントロピーがカラビの diastasis と呼ばれるモジュライ空間上の関数で与えられることをあらわな計算により確認した。また球面分配関数の解析接続によりヤヌス・インターフェイスの分配関数を計算する手法を開発した。 ヤヌス・インターフェイスを、2次元球面上のオメガ背景で考えて、その分配関数がオメガ背景での相関関数の母関数に一致することを発見した。 超対称半球面分配関数とtt*半球面分配関数の一致については、超ワイル・アノマリーに基づく議論により、共形場理論の場合に Bachas と Plencner による証明が与えられた。この証明を半球面から実射影平面に拡張することを試み、現在も研究が進行中である。 主に前年度で得た、渦演算子や超対称な繰り込み法に関する研究成果を、スペイン・中国・米国などでの国際研究会の講演で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、ヤヌス・インターフェイスに付随するエントロピーがカラビの diastasis で与えられることを超対称局所化により確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヤヌス・インターフェイスの分配関数をより一般のゲージ理論に拡張する。特に、スピン鎖などの可積分系との対応が期待されるゲージ理論に適用し、アフィン・ヘッケ代数など量子群的な対称性の構造を明らかにする。幾何学的表現論での知見を用いる。
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Causes of Carryover |
海外研究集会に参加するための旅費として使用する予定だったが、分担者として参加している基盤B科研費が最終年度であったため、そちらから予定していたより多い分担金を受け取って旅費にあてた。 H30年度も複数の海外出張を計画しており、その旅費に使用する予定である。
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