2016 Fiscal Year Research-status Report
Lefschetz thimbleによる経路積分と複素作用系のシミュレーション法
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16K05313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 芳夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20252421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 格子ゲージ理論 / Lefschetz thimble |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究計画のうち,(1)格子ゲージ理論の経路積分の複素数拡張とLefschetz thimble structure の解析,(2) Lefschetz thimble 上のハイブリッド・モンテカルロ法の改良; フェルミオン行列式を含む場合,(3) 有限密度-QCD (HDQCD) への適用に関連する課題に取り組んだ。特に,複素数拡張された格子ゲージ理論の経路積分におけるLefschetz thimble構造を解析するために,複素数古典解 (critical point) の分類,thimble-構造 (gradient flow, intersection number,Stokes phenomena) の解析を進めることが課題である.平成25年~27年度に行った,1次元Thirring模型における Lefschetz thimble 構造の解析からは,有限密度下の1次相転移が複数の thimble の寄与によって得られる事が明らかになった[1,2]. このような複数の thimble の寄与を,一つのthimbleの寄与として与えることができるような,複素数拡張におけるreweight法やLefschetz thimble 構造の変形の可能性を詳細に検討した[3].後者のthimble 構造の変形の方法[4]は,本質的には,複素数拡張におけるreweight法の一種とみなすことが可能であり,いずれの方法でも,overlap問題による限界があり得る.統計によってどこまでoverlap問題を回避できるのか,1次元Thirring模型において検証した.
[1] H. Fujii, S. Kamata and Y. Kikukawa, JHEP11(2015)078, arXiv:1509.08176 [hep-lat]. [2] H. Fujii, S. Kamata and Y. Kikukawa, JHEP12(2015)125, arXiv:1509.09141 [hep-lat]. [3] H. Fujii, S. Kamata and Y. Kikukawa, in preparation. [4] S. Tsutsui and T. M. Doi, Phys.Rev. D94 (2016) no.7, 074009, arXiv:1508.04231.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
格子ゲージ理論の枠組みによる標準模型の構成に関する研究に進展があったため,それに関する研究課題を優先的に進めているため.この進展によって,研究目的(4) 2 次元 SU(N) 格子カイラルゲージ理論への適用, への準備が整いつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年~27年度に行った,1次元Thirring 模型における Lefschetz thimble 構造の解析からは,有限密度下の1次相転移が複数の thimble の寄与によって得られる事が明らかになった[1][2].このような複数のthimble の寄与を有効的に取り込むことができる方法として,contraction algorithm が提案されている[5].この方法を検証し,格子ゲージ理論に適用するために必要な改良に取り組む.
A. Alexandru, G. Basar, P. F. Bedaque, G.W. Ridgway, C. Warrington, JHEP 1605(2016) 053, arXiv:1605.08764 [hep-lat].
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Causes of Carryover |
初年度の物品費(150 万円)は,格子ゲージ理論の Lefschetz thimble structure の解析やプログラム開発に用いるGPGPUワークステーションの新規購入のために計上したものであったが,本格的な使用が次年度以降になる見込みとなり,この新規購入を延期した.これが次年度使用額が生じた主要な理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用の物品費は,今年度の物品費と合わせて,格子ゲージ理論のLefschetz thimble structure の解析やプログラム開発に用いるGPGPUワークステーションの新規購入のために当てる計画である.
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