2018 Fiscal Year Research-status Report
ソリトン理論の非可換化・高次元化と弦理論・可積分系への応用
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16K05318
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
濱中 真志 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 講師 (70377977)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ソリトン / インスタントン / ダルブー変換 / ベックルント変換 / 高次元ブラックホール / ペンローズ・ウォード変換 / 非可換幾何学 / Quasideterminant |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、非可換反自己双対 Yang-Mills 方程式のソリトン解の研究を推し進め、ソリトン解の漸近的振る舞いなどを考察した。特にDarboux 変換を用いた Wronskian 型の Quasideterminant 解を用いることで、ソリトン数が一般の場合の散乱過程の漸近的振る舞いを明らかにした。これは英国グラスゴー大学のClaire Gilson氏との共同研究に基づく。 昨年度に研究代表者の博士後期課程学生が導出した高次元ゲージ理論の特殊な非可換ソリトン解について、解の拡張・超対称性との関連を調べ、8次元からのリダクションによる包括的な分類を行った。 非可換空間におけるインスタントン解の Atiyah-Drinfeld-Hitchin-Manin (ADHM) 構成法に関する中津了勇氏 (摂南大学) との共同研究の一部を論文としてまとめている。スター積形式でのモジュライ空間の双対性の証明が主結果である。これに加えて、オぺレータ形式での厳密かつ系統的な解構成とインスタントン数の起源について研究会で成果を発表した。 他にも、非可換べックルント変換を用いた高次元ブラックホール解の構成、G = U (1) の場合の Penrose- Ward 変換、可積分系のラグランジュ形式などについて、専門家と議論しながら考察を深めた。 一連の成果に関して国内外の研究会・セミナーで積極的に発表し、幅広い分野の専門家と質疑応答を行った。特に2019年3月の英国訪問において、高次元ゲージ理論の可積分構造についてさまざまな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って当初の研究課題を着々と進めている. 今年度は多岐にわたって新しい方向への萌芽的成果があった. 特に数学的側面に関して専門知識を吸収する機会がたくさんあり、個人的にはとても有意義な一年だったと感じている。2018年夏頃は検診のため海外出張を控えたこともあって、今年度の冬は積極的に研究会に参加した。 特に2018年12月の本庄早稲田の合宿はとても有意義であった。2018年11 月に共同研究者の Claire Gilson 氏を名古屋に招聘した際、2019年3月頃にグラスゴーを訪問することを約束し, その機会を活かして周辺大学を訪問した. 2週間の滞在であったが、Durham 大学で Richard Ward 氏と、Oxford 大学で Lionel Mason 氏と、高次元可積分系などについて大変実りある議論をすることができた。Gilson 氏との共同研究も大きく進展し来年度に継続することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度・昨年度に得られた成果を一刻も早く論文として公表し,国内外の研究会で成果発表を行う. すでに2019年6月にアゼルバイジャンで行われる国際会議「Operators, Functions, and Systems of Mathematical Physics Conference」での招待講演,および2019年6月にスコットランドで行われる国際会議「Integrable systems, special functions and combinatorics (ISLAND5)」への招待参加・講演が決まっており,それに向けて論文を準備中である.
また背景磁場の効果が標準的なゲージ場の量子論の分配関数などにどのような補正を与えるかについて考察を進めていく. ゲージ理論においては背景磁場の効果は時空座標の非可換性に置き換えることができる. 非可換パラメータの一次摂動で物理量にどのような補正が入るのか調べたい. リサージェンス構造についても議論する.
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Causes of Carryover |
2018年夏頃、健康管理の一環で通院がかさんだため海外での研究成果発表をいくつか断念せざるを得ない状況となり、その分の使用額を次年度に繰り越すこととなった。次年度は6月にアゼルバイジャンとイギリスに招聘していただいたため、約3週間の海外出張を予定しており、その旅費として繰り越し分を使用する。 他、2019年8月・9月と2020年2月に海外での成果発表を予定している。専門的知識吸収のため国内の素粒子論・ソリトンの専門家をセミナーに招聘する予定である。2020年3月には研究を総括する目的も兼ねて、ソリトン・位相的弦理論関連の小規模研究会の開催を予定している。
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Research Products
(5 results)