2017 Fiscal Year Research-status Report
メビウスドメインウォールフェルミオンに対するシュレーディンガー汎関数法の研究
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16K05326
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石川 健一 広島大学, 理学研究科, 准教授 (60334041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | くりこみ処方 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に執筆したメビウスドメインウォールのシュレディンガー汎関数法(SF法)の定式化の論文について、境界でのくりこみの必要性について査読者との議論を行った。査読者からの要求により、境界項のくりこみ定数がSF法の背景場の有無に依存しないこと、連続極限での解析解との比較を行う計算を追加して行った。また、境界項でくりこみを行う代わりに、物理的な時間領域を境界から2格子分離すことにより、境界項のくりこみを必要としない定式化も行った。以上の追加の研究を行い、昨年度投稿した論文は査読付き雑誌に受理された。
メビウスドメインウォールのSF法の定式化とともに、本課題の補助的な研究課題としてSF方でのグラディエントフロー法による非摂動的な走る結合定数の計算を行った。ゲージ理論での有限体積スケーリング法による走る結合定数の定式化として、本研究課題の主題であるSF方の他に、グラディエントフロー法という手法が近年リュッシャーにより提案されている。我々は、グラディエントフロー法と有限体積スケーリング法を組み合わせるために、ゲージ場の境界条件としてツイストされた境界条件を用いた。このくりこみ処方をツイストされたグラディエントフロー処方(TGF法)と呼ぶ。この境界条件を用いることで、ゲージ場のゼロモーを取り除く事ができ、TGF法で計算した走る結合定数と、SF法で計算した走る結合定数を比較することができる。本年度は純ゲージ理論でTGF法の走る結合定数を非摂動的に高精度で計算し、SF法の計算を通じてMSbar法へ変換した。その結果ゲージ理論の基本パラメータであるラムダパラメータをMSbar処方で得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定のメビウスドメインウォールのシュレディンガー汎関数法の定式化で、境界項でのくりこみに関しての研究にかなり時間を要した。その結果、具体的なプログラム作成と非摂動的数値計算の開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
境界項のくりこみについての理解ができたので、定式化に従って現在プログラミングを行っている。SF境界条件を課さないドメインウォールフェルミオンの数値計算コードの検証は済んでいる。 一方、残された計算と研究時間の観点から、クォークの真空偏極を取り入れたSF法の走る結合定数の計算はかなり難しいと思われる。したがって、クォークの真空偏極を取り入れない(クエンチ近似)の場合のクォークのパラメータのSF法による非摂動計算を行いたい。具体的には、有限の五次元方向の大きさの場合のあらわなカイラル対称性の破れによる軸性流保存則の破れを補正する境界パラメータの決定を行う。
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Causes of Carryover |
年度末の学会参加が学事のため取りやめとなり、旅費を使い切れなかった。そのため、平成30年度の経費と合わせて学会参加の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)