2018 Fiscal Year Annual Research Report
Hidden symmetry of spacetime and Einstein metric
Project/Area Number |
16K05332
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
安井 幸則 摂南大学, 理工学部, 教授 (30191117)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | キリング・矢野対称性 / ブラックホール / 変数分離性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホール時空の一意性定理,時空を伝搬する粒子や波の方程式に現れる変数分離性等々,ブラックホール時空の持つ可積分な構造は,キリング・矢野対称性とよばれる高階のテンソルによって記述される対称性と密接に結びついている。このような対称性の認識は,カーター (1968)によるカー時空上の測地線方程式の保存量の発見にはじまる。現在カーター定数とよばれているものである。この保存量は階数2のキリングテンソルを使って与えられ,測地線方程式を可積分な方程式へと導く。キリング・矢野対称性の中でも共形キリング・矢野テンソル(以後CKYと略記)は本研究において中心的な役割を果たす。ペンローズとフロイドは,カー時空上のキリングテンソルがCKYの“2乗”の形で表現できることを指摘した。さらにこの性質を使って,クライン・ゴードン方程式 , ディラック方程式等々,カー時空上の場の方程式の変数分離性が示され,その幾何学的根拠としてCKYの存在が重要であることがわかってきた。2000年代に入ると,超弦理論や超重力理論に動機づけられた高次元ブラックホール時空の研究が活発に行われた。本研究との関連で大きなブレークスルーは,一般次元においてCKYブラックホール時空の一意性定理を証明したことである。その後,CKYの存在する時空の分類が行われ (一般化されたKerrNUT-(A)dS時空),クライン・ゴードン方程式,ディラック方程式の変数分離性が示された。本研究では,最近ルーニンによって示されたマイヤーズ・ペリーブラックホール時空上のマックスウェル方程式の変数分性に動機づけられ,一般化されたKerr-NUT-(A)dS時空でも変数分離が成立することを示すことに成功した。
|
Research Products
(4 results)