2018 Fiscal Year Research-status Report
時空の安定性とダークエネルギーモデル/修正重力理論構築の基礎研究
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16K05344
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白水 徹也 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (10282716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 正質量定理 / ダークエネルギー / ブラックホール / 唯一性定理 / 逆曲率流 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般相対論における正質量定理の証明の一つに逆曲率流を用いるものがある。逆曲率流は空間を指数関数的に増大する面積で葉層化を指す。この逆率流の下で、ホーキングの準局所質量の単調性が示されることが正質量定理の証明の肝である。今年度はこの拡張、すなわち修正重力理論やダークエネルギーにフィットするような逆曲率流の修正の可能性について吟味を開始した。まずは、ヒントを得るために、静的ブラックホールの唯一性定理の証明、特にIsraelやRobinsonによるものを再吟味することにした。その証明の中では質量に関係する量が登場するが、逆曲率流ではなく調和関数一定面による葉層化が採用されている。調和関数の利用が正質量定理の新しい証明に有効な可能性がある。そこで鍵を握るのがいくつかの発散恒等式である。それは、ある幾何学量から構成されたカレントの発散をとったものが、非負になるという形をなしている。しかし、その発散恒等式の系統的導出はこれまで明らかでなかった。そこで、我々はその発散恒等式の系統的導出を試み、部分的成功するに至った。具体的には、カレントを定義する際に、いくつかの未知関数を導入し、その発散が非負になるための条件を見出した。その条件とは未知関数がある常微分方程式を満たすことである。 まとめると、ある常微分方程式を満足する関数を係数に持つカレントの発散をとると、非負になることがわかった。これはある量の単調性を表し、正質量定理の新しい証明へのヒントを提供していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周辺の関連テーマで興味深い成果を得ることができた。この結果は本テーマへの重要なヒントになる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得た発散恒等式で現れた常微分方程式は偏微分方程式に拡張される結果も得ている。そこで更なる一般化を目指し、背後に潜む原理の追及を試みたい。そして、正質量定理の証明で現れる空間の葉層化へのヒントを探る。
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Causes of Carryover |
情報収集のための旅費を確保するため。
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Research Products
(5 results)