2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K05364
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| Research Institution | Kwansei Gakuin University |
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Principal Investigator |
鵜沢 報仁 関西学院大学, 理学部, 研究員 (50378931)
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2016-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 一般相対性理論 / 超弦理論 / 宇宙論 / 超重力理論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は高次元重力理論におけるorbifold上のblack p-brane解及び時間依存解について研究を行った。重力理論には基本的な物体としてp-braneが理論に含まれ、p-braneを記述する解はその背景時空の持つ幾何学的な性質によりしばしば裸の特異点が出現する。一方、Einstein-Maxwell理論には複素射影空間を含むEinstein方程式の解が任意次元で得られ、その解は背景に裸の特異点を含まないblack holeを表すことが2020年度の研究で明らかとなった。これは、Eguchi-Hanson空間を背景に持つ、5次元black hole解の高次元時空への拡張解である。2021年度はこれらの時空の背景を参考に時間依存解を追求し、動的解の性質を調べた。その結果、2020年度にEinstein-Maxwell理論で導出した静的black hole解の自然な拡張となる時間依存解析解が適当な背景場の仮定のもとで得られた。この厳密解はdynamical p-braneを記述し、加速膨張は実現せず背景時空には裸の特異点が出現することも分かった。また、上述の時間依存解に加え、複素射影空間を考慮することでこれまで知られていなかった、計量が時間の2次の関数に依存するEinstein方程式の解析解を構築することができた。これはp-brane解ではないものの、計量が具体的な関数で記述可能な時間依存解で、これまでには知られていなかった厳密解である。更にこの宇宙論解は非一様状態から時間が経過するにつれて一様宇宙に遷移する宇宙モデルを与えることも判明した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、具体的な高次元重力理論で膨張宇宙上のブラックホールや宇宙モデルを記述する解析解を得ており、本研究課題の目的である「超弦理論の動的解をブラックホールや宇宙論に応用し、解の持つ物理的な性質を一般相対性理論の観点から明らかにする」ことは現在まで概ね順調に進んでいる。他方、swampland予想と超弦理論の時間依存brane解との関連性は明らかでなく、具体的なモデルで両者の結びつきがどのようなものかを探る研究を現在遂行中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は超弦理論の時間依存brane解とswampland予想との関係について明らかにする研究に取り組む。量子重力理論の低エネルギー有効理論が、整合性のある場の量子論であるかどうかを判断するswampland基準としてスカラー場のポテンシャルとその一階微分との間を結びつける関係式があり、加速膨張宇宙を示す de Sitter 真空の安定性やインフレーションモデルの実現性を判定する材料となっている。このような状況を踏まえ、時間依存brane背景時空においてスカラー場の速度を考慮した場合、これまで議論されてきた加速膨張宇宙を導く条件にどの程度影響するかを明らかにする。特に、インフレーション宇宙の進化を記述するスカラー場の振る舞いをswampland予想の観点から議論し、それにより得られるスカラー場の動力学に対する制限を時間依存braneモデルで明確にする。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延が収束していない状況のため、国内外の研究会や国際会議での研究成果報告の機会が無くなり、当初予定していた旅費の執行が全くできなくなったことで次年度使用額が生じた。次年度の使用計画は新型コロナウイルスの蔓延状況をにらみつつ、研究会・国際会議に出席し、取り組んだ研究の成果発表と最新の研究動向を吸収すべく出席者との情報交換と資料収集に努めるための旅費に使う予定である。
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