Study on dynamical properties of superstring theory

2023 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16K05364
• Research Institution: Kwansei Gakuin University
• Principal Investigator: 鵜沢 報仁 関西学院大学, 理学部, 研究員 (50378931)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 一般相対性理論 / 超弦理論 / 宇宙論 / 超重力理論

Outline of Annual Research Achievements

2023年度は超重力理論における時間依存解について研究を行った。具体的には、2020年度の研究で得られた静的厳密解を時間依存解へ拡張することに成功し、宇宙論的な性質を調べた。得られた時間依存解析解は膨張宇宙上に存在するp-braneとは異なり、2021年度に構築した宇宙モデルとも違う減速膨張宇宙モデルを記述するが、加速膨張はせず背景に裸の特異点が出現することも判明した。研究期間全体を通じて実施した研究については、以下の4つの成果をあげることができた。最初の研究成果は、超弦理論における動的p-braneの性質を明らかにしたことである。動的p-brane解は複数のp-braneの電荷量が互いに同じであれば衝突現象を厳密解により追跡可能であったり、初期宇宙で存在していた動的p-braneの超対称性が、宇宙膨張とともに次第に破れる様子を明らかにすることができた。2番目の成果はinflation及びEkpyrotic宇宙モデルが超弦理論から導かれる可能性についてである。10次元II型超弦理論の単純なコンパクト化では、inflation宇宙やEkpyrotic宇宙モデルと宇宙論の観測結果とを照らし合わせた結果、現実的な宇宙モデルを導くことが出来ないことを示した。3つ目の研究はヘテロ型弦理論の極限ブラックホール解を用いた弱い重力予想の検証である。本研究で得た極限ブラックホール解は、弱い重力予想が示唆する、極限ブラックホールがより小さな極限ブラックホールに崩壊できることを保証するものではないことを明らかにした。4番目の研究成果は曲がった背景時空における摂動弦の経路積分法の定式化である。この研究により、弦幾何学理論から摂動弦を弦の結合定数の任意の次数まで導き出すことがtree levelで可能となり、弦幾何学理論が経路積分の古典的な極限によって定義できることが判明した。