2017 Fiscal Year Research-status Report
大型液体キセノン検出器における効率的バックグラウンド削減の為の充填液体の研究
Project/Area Number |
16K05370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 洋 東京大学, 宇宙線研究所, 学術支援研究職員 (20374910)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 低温物性 / 暗黒物質 / 極低バックグラウンド / 光検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
次期またはそれ以降のXMASS実験における暗黒物質探索において、感度向上のための手法を用意しておきたい。手法の一つとして、検出器表面付近を液体の充填液体によって満たし、暗黒物質からの事象の反応する液体キセノン領域と分ける。これにより検出器表面からのバックグラウンド事象を、有効体積内事象として間違われるのを防ぎ、暗黒物資探索の感度が上がることが期待される。この充填液体は、真空紫外光を透過することと、液体キセノン温度(-100℃)において液体であること等が要求される。本研究はこの充填液体の選定と、性能の評価を実施する。 平成29年度における本研究の進捗を述べる。前年度に選定された充填液体の真空紫外光の透過度を測定するために、真空紫外領域に感度のある分光器及び、光源の購入を実施した。分光器は、オーシャンフォトニクス社製MAYA2000PRO 高感度分光器であり、真空紫外光が機器自身で吸収されるのを防ぐために、窒素パージが可能なようにカスタマイズをしている。150nm以上の波長光源を波長ごとに観測できる。光波長として光源は、浜松ホトニクス社製VUV光源L10366となっており、光波長分布が160nmにピークを持つ連続成分となっている。これらの組み合わせで、真空紫外領域の透過率を波長ごとに観測が可能となった。 また、検出器シミュレーションを用いて、現在のXMASS検出器における検出器表面からのバックグラウンドと、内部バックグラウンドの評価の結果、検出器表面からのバックグラウンドが、内部バックグラウンドの10倍あることが明らかになった。このバックグラウンド評価は、XMASS検出器における暗黒物質探索の解析に使われた。その結果は、国際会議、学会で公表された。また、Preprint arXiv:1804.02180 にまとめられ、Phys.Lett.Bにsubmitされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際の透過率測定用のチェンバーの組み付けが未完成となっている。H30年早期に光源+分光器を組み合わせた測定チェンバーを完成させ、速やかに透過率を測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年早期に光源+分光器を組み合わせた測定チェンバーを完成させ、速やかに透過率を測定する予定である。また、充填液体の純化システムの製作を実施する。純化用カラムとしてはモリキュラーシーブス5Aを考えている。循環用ダイヤフラムポンプも用意する。これらの測定、セットアップによって、有望な充填液体を見つける。
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Causes of Carryover |
テストチェンバーおよび純化システムがまだ完成していない。これらに使用予定である。
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Research Products
(2 results)