2016 Fiscal Year Research-status Report
非ブレーザー活動銀河核の超高エネルギーガンマ線放射領域及び放射機構の研究
Project/Area Number |
16K05381
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
西嶋 恭司 東海大学, 理学部, 教授 (40202238)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛田 淳子 東海大学, 理学部, 准教授 (80366020)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 活動銀河核 / 電波銀河 / ブラックホール / 超高エネルギーガンマ線 / MAGIC / ジェット / 宇宙線 / マルチメッセンジャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,世界最高感度の大気チェレンコフ望遠鏡.MAGIC望遠鏡を用いて非ブレーザー活動銀河核(主に電波銀河)を超高エネルギーガンマ線で観測し,特にその時間変動を詳細に調べ,VLBI電波観測によるジェット根元のイメージ及びその変化と比較することにより,超高エネルギーガンマ線の放射領域を特定することを目指している. 本年度の一番のターゲットは,赤方偏移z = 0.0042の近傍電波銀河M87である.M87は,中心に巨大ブラックホールが存在すると考えられていて,非ブレーザーとして最初にTeVガンマ線で検出された活動銀河核である.MAGIC望遠鏡を用いてM87を1月1日から3月9日の間で16夜,3月21日から4月6日の間で15夜観測を行った.特に3月22日から4月6日はHESS,VERITASという他の大気チェレンコフ望遠鏡との同時観測キャンペーン期間であり,この時期に合わせて電波によるVLBI観測,SwiftとChandraによるX線観測,Fermi-LATによるToO観測など,多波長同時観測が行われている.MAGICによる有効観測時間は,1月は約16時間,3,4月は約19時間で,現在解析中である.予備的な結果としては,M87の方向から300 GeV以上の超高エネルギーガンマ線検出のヒントが得られているが,まだ公表できる段階にはない.また,もう一つのターゲットである赤方偏移z = 0.018のFR-I型電波銀河NGC1275に関しては,昨年10月とこの年末年始にかけて,超高エネルギーガンマ線フレアの検出に成功した.特に12月31日から1月1日にかけては,1.5倍のCrab bebula fluxを観測し,多波長同時観測を呼びかけた.これとは別に,NGC 1275からのガンマ線について,2009年から2014年のこれまでの観測結果をアップデートし,詳細なスペクトルを得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初,フレアー時のMAGIC望遠鏡による超高エネルギーガンマ線のToO観測を目指していたが,NGC 1275に関してはモニター観測を,M87に関してはスケジュール観測を行った.その結果,NGC 1275に関しては2016年10月29日と12月31日にフレアーを検出し,いずれも数日間連続観測を行い,多波長同時観測を呼びかけた.また,M87に関しては2017年1月1日から3月9日までと3月21日から4月6日まで観測を行った.いずれも年度の後半,特にM87に至っては年度末に年度をまたいでの観測となり,解析は未だ進行中で公表できる結果は出ていないが,解析は順調に進んでいる.また,VLBIイメージとの比較を計画していたが,観測はなされており,現在解析中で結果を待っている状況である.以上のように,全体として本年度の研究課題の進捗状況は,研究計画に沿って概ね順調に進行していると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従って,まずは現在解析中のデータを用いて,M87からの超高エネルギーガンマ線(TeV)フラックスの時間変動,及びエネルギースペクトルとその時間変動を明らかにする.その際,月明下での観測データを有効利用するための解析方法の開発を行う.続いて,観測軽度の異なるHESS, VERITASの観測結果と合わせ,M87のTeV領域における連続的な時間変動を確立する.さらに,電波観測やX線観測,及びFermi-LATのデータ解析の結果を合わせてスペクトルエネルギー分布(SED)を求める.また,多波長のライトカーブの相関を調べるとともに,VLBIによる電波イメージの変化との相関を調べ,ガンマ線放射領域に関するヒントを得る.必要があれば,VLBI観測のプロポーザルを提出する.NGC 1275とIC 310についても同様のアップローチを目指す.これらの観測結果を元に,様々な放射モデルを検証し,放射領域の物理状態を推測するとともに,必要があれば新しい放射モデルを構築する.
|
Causes of Carryover |
旅費が想定金額を下回ったため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の国際会議出席等の旅費として活用する予定
|
Research Products
(6 results)