2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05384
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
今井 憲一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 客員研究員 (70025493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 勝一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90391333)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハドロン / ストレンジネス / 電磁放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、エキゾチックハドロンとくにハイペロン共鳴の構造をあきらかにすべくその電磁放射を測定するためのγ線検出器を開発することである。ハイペロン共鳴の観測については必要となるTPCを用いたハイペロンスぺクトロメーターの建設が我々を含む研究グループによりほぼ完了している。ここに新たにγ線位置検出器を超伝導磁石とTPCの間の間隙に設置してハイペロン共鳴からの電磁放射のいくつかを世界で初めて測定することが最終目的である。そのためにこの研究では、そのγ線位置検出器の研究開発を行う。まずシミュレーションによって必要な位置分解能を決定し、実際の条件とも考え併せて検出器の仕様を決定する。今年度はそのために、検出器の試作にとりかかった。γ線位置検出器はシンチレーターと鉛のサンドイッチ構造になる。位置分解能は、シンチレーターのサイズと読み出しの時間分解能で決まる。シミュレーションの結果、シンチレーターのサイズを決定した。読み出し方式については、波長変換ファイバー読み出しと直接読み出しの二つのタイプを試作することにした。光検出にはMPPCを用いる。これらのサンプルについて設計を行い、製作に必要な材料や回路をそろえて、製作の準備を整えた。 エキゾチックハドロンの存在はますます確実になっており、その構造を明らかにすることの重要性がひろく認識されている。ハイペロン共鳴からの電磁放射の実験計画策定に向けて理論家と共同で検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、すでに完成している標的内蔵型TPC(Time Projection Chamber)の外部の間隙に配置するγ線の位置検出器の試作品を設計した。今年度中に完成してテストする予定であったが、シンチレーターの加工などで問題があり、製作と納入がおくれたため、テストは平成30年度はじめにずれこむことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
γ線位置検出器のサンプルの材料はすでにそろっており、30年度はじめにふたつのシンチレーター光の読み出しタイプ(波長変換ファイバー方式と直接方式)のものを製作し、基本性能をベータ線などでテストする。その後鉛板とシンチレーターのサンドイッチ構造のγ線位置検出器としてくみ上げる。東北大学のELPHのγ線ビームを用いて位置検出器の性能(時間分解能、位置分解能、効率)を測定する。それをもとにJ-PARCでのΛやΞ共鳴の電磁放射崩壊測定の実験提案をまとめる。
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Causes of Carryover |
(理由) γ線位置検出器の基本パラメーターは、ハイペロン共鳴の電磁放射のシミレーションと実際的な製作可能性とに基づいて決定される。この検討に予想以上に時間がかかった。さらに同じ場所に設置されるホドスコープとの整合性をとる必要があり、お互いの設計をかみあわせるのに時間を要した。そのため予定していた一部の検出器パーツの納入が年度内に間に合わず、次年度使用額が生じた。 (使用計画) H29年度に予定していた検出器パーツの購入費用として使用する。
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Research Products
(2 results)