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2017 Fiscal Year Research-status Report

自己組織化によって発現する90°ストライプドメインの巨大誘電応答の研究

Research Project

Project/Area Number 16K05395
Research InstitutionTokyo Gakugei University

Principal Investigator

並河 一道  東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (10090515)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大和田 謙二  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 上席研究員(定常) (60343935)
石野 雅彦  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員(定常) (80360410)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsリラクサー強誘電体 / 分極ドメイン生成 / 多重スケールドメイン / 相転移挙動 / 臨界揺動
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、昨年度に引き続きスペックル像の強度相関の測定を試みたが、軟X線レーザーの故障により実験の開始が大幅に遅れ、実際の測定は新年度に持ち越される結果となった。この間、PMN-27.8%PTとPZN-9%PTについてHe-Neレーザーを用いて空間ケールを変えたドメインの観察を行い、リラクサー強誘電体の組成相境界近傍におけるドメイン形成を中間階層の構造転移として総合的に考察した。
PMN-27.8%PTの90度斜め並行ドメインの生成については、可視光を用いたスペックルによってマクロドメイン生成の観察を行い、ミクロドメインの成長と並行してマクロドメインの成長が進むことを確認した。このマクロドメインは周期200マイクロメートル程度の[010]方向に平行なドメインであることが分かった。特徴的なことは、ミクロドメインは成長するに従いドメインの幅がより細かくなるのに対し、マクロドメインの幅はほとんど変化しないことである。これらの結果を取り入れてPMN-27.8%PTのドメインの形成について光・量子ビーム科学合同シンポジウム(Opto 2018 Symposium on Photon and Beam)でポスター発表を行った。
マクロドメインの観察はPZN-9%PTについても行い、構造相転移とドメイン成長の関係を調べた。PZN-9%PTの場合、マクロドメインが出現するのはPMN-27%PTと同様にTcより10K程度の低温側であるが、PMN-27.8%PTではTcより10K程度の低温側でマクロドメインが突然出現するのに対し、 PZN-9%PTではTc近づくにしたがいゆらぎが激しくなりTcより10K程度の低温側でゆらぎの激しさが最も大きくなって突然マクロドメインが出現することが分かった。この現象はあたかもドメイン発生に関する臨界揺動のようであることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

(理由)
組成相境界近傍にあるPMN-27.8%PTの斜め90度ストライプドメインの成長とドメイン壁の分極のゆらぎとの関係を調べるため本年度に予定していた強度相関の実験は、軟X線レーザーの故障と調整のためビームタイムを取れずまだ十分進んでいない。PZN-9%PTについても、強度相関の実験は同様な理由でまだ試行していない。
リラクサー強誘電体の組成相境界近傍におけるドメイン形成を中間階層の構造転移として統一的に考察するため、PZN-9%PTについてもHe-Neレーザーを用いて空間ケールを変えたドメインの観察を行った。その結果、PMN-27.8%PTとPZN-9%PTとではマクロなドメインの生成のモードが異なることが分かった。軟X線レーザーが順調に使用できるようになれば、ドメイン壁の分極の強度相関が測定でき、ドメイン壁の分極のゆらぎの違いを明らかにすることが期待できる。

Strategy for Future Research Activity

(今後の推進方策)
最初に、PMN-27.8%PTについて、斜め90度ストライプドメインが成長し始める403Kからドメインの成長が著しく進む389Kまでミクロなドメイン壁の分極のゆらぎを観察する。とくに、マクロなドメインが突然現れる398K付近のドメイン壁の分極のゆらぎを詳しく観察し、ドメイン壁の分極のゆらぎと分極ドメインの自己組織化の関係を明らかにする。つぎに、PZN-9%PTについても同様な実験を行い、マクロなドメイン出現直前に現れる分極の大きなゆらぎを軟X線レーザーのスペックルを用いて調べ、Tc前後の分極のゆらぎを強度相関で詳しく観察する。
ミクロドメインの生成と成長におけるドメイン壁の分極のゆらぎの温度変化が分かれば、ドメイン生成におけるエントロピーの変化を明らかにすることができ、PMN-27.8%PTとPZN-9%PTのマクロドメインの形成に関する “構造相転移型”と“臨界揺動型”の違いがなぜ生ずるのか、また何を意味しているかについて考える手がかりを得ることができる。
次年度は計画の最終年度であるので、これまでの成果をまとめて幾つかの論文を出版する予定である。PMN-27.8%PTの斜め90度ストライプドメインの誘電応答に関する論文をPRBに投稿する準備をしている。分極壁の分極のゆらぎに関する強度相関の実験を遂行して論文を作成する。

Causes of Carryover

(理由)昨年度は軟X線レーザーの故障と調整のため強度相関の実験が進まず、関西光科学研究所への出張が当初の予定通りに行われなかったため、出張旅費の一部が次年度繰り越しとなったため。
(使用計画)新年度の出張旅費に加算して使用する。また、論文作成が予定通り順調に進み、論文投稿費が不足するような場合、一部をそちらに充当する可能性がある。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Coherent X-ray diffraction for domain observation II2017

    • Author(s)
      K. Ohwada, D. Shimizu, J. Mizuki, K. Fujiwara, T. Nagata, N. Ikeda, H. Ohwa, N. Yasuda & K. Namikawa
    • Journal Title

      Ferroelectrics

      Volume: 513:1 Pages: 16-21

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Domain Formation in relaxor Ferroelectrics2018

    • Author(s)
      並河一道、石野雅彦、荒川悦雄
    • Organizer
      光・量子ビーム科学合同シンポジウム2018
  • [Presentation] Multiple length scales in reluxor ferroelectrics2017

    • Author(s)
      Kenji Ohwada, Jun'ichiro Mizuki, Kazumichi Namikawa
    • Organizer
      The Fourteenth International Meeting on Ferroelectricity
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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