2016 Fiscal Year Research-status Report
外部電場下における界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力の第一原理計算
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16K05415
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 浩次 三重大学, 工学研究科, 准教授 (70281847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 界面磁性 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は全電子フルポテンシャル線形化補強平面波法(FLAPW法)を界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力に関する大規模計算が可能なプログラムの改良を以下の通り行った。 1.一般化ブロッホ定理を用いたスピンスパイラル構造の第一原理計算プログラムを改良した。一般化ブロッホ定理の導入により、長波長のスパイラル構造(数百原子数)を小さな化学的ユニットセル(数原子個)で計算できる。しかし、モデルの膜厚を増やした場合、結晶構造の対称操作が利用できないこと、逆空間のk点数を数千点以上も考慮しなければならないこと、ノンコリニア磁性を考慮しなければならないことから、行列要素と固有値を求めるプログラムでメモリ容量と計算時間を縮小するための最適化を行った。また、並列化プログラムの開発を開始した。 2.スピン軌道相互作用を導入するための第二変分法プログラムを改良した。スピン軌道相互作用を考慮する場合、一般ブロッホ定理が利用できないため、ユニットセルの面内格子定数をスパイラル波長(例えば波数q=0.01の場合、格子定数の100倍の長さ)に一致させた巨大なスーパーセルを用いる必要がある。本手法では、前述1)のスピンスパイラル構造の波動関数を改めて基底関数として取り直し、第二変分法でスピン軌道相互作用を取り入れ、全エネルギーを再計算する。ここでは、メモリ容量と計算時間が飛躍的に増大することから、スピン軌道相互作用に関する行列要素と固有値を求めるプログラムを最適化した。また並列化プログラムの開発を開始した。 3.スピン軌道相互作用を考慮した全エネルギーの波数q依存性から、最小二乗法によりqの1次項を導出し、界面ジャロシンスキー守谷相互作用力を決定するプログラムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンスパイラル構造の第一原理計算及びスピン軌道相互作用を導入した第二変分法のプログラム開発を計画通り実施できた。また、プロトタイプ系のCo/Ptの2層金属薄膜に対して、外部電場が無い場合の界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力を、前述計算手法を用いて計算し、プログラムの確認及び先行研究との比較を行い、計算手法を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.前年度に引き続き、スピンスパイラル構造の第一原理計算及びスピン軌道相互作用を導入した第二変分法のプログラムを開発する。ここでは、プログラムの最適化はほぼ終了したことから、並列化のプログラムの改良にうつる。 2.Co/Pt2層金属薄膜に対して、Co原子層(1原子層~3原子層)とPt原子層(3原子層~9原子層)の厚さの違いによる界面ジャロシンスキー守谷相互作用力を考察する。また、3d遷移金属層にCoとFe原子層を、重金属層に種々の5d属遷移金属とした2層構造に対して、界面ジャロシンスキー守谷相互作用力の計算を実施し、界面バンド構造との関連性を調べる。
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Causes of Carryover |
外部機関の計算機を利用することにより計算機サーバの購入費を予定より少なくすることができた。また、プログラムの配列容量等の最適化により計算消耗品費を予定より少なくすることができた。その他、旅費等を節約した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機消耗品を購入する。また国内会議・国際会議で研究成果を発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(10 results)