2017 Fiscal Year Research-status Report
外部電場下における界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力の第一原理計算
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16K05415
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 浩次 三重大学, 工学研究科, 准教授 (70281847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 界面磁性 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力に関する大規模計算が可能な全電子フルポテンシャル線形化補強平面波法(FLAPW法)プログラムの改良を行った。具体的に、一般化ブロッホ定理を用いたスピンスパイラル構造の第一原理計算及びスピン軌道相互作用を導入するための第二変分法計算において、プログラムの最適化及び並列化を行った。引続き、プロトタイプのCo/Pt2層金属薄膜に対して、外部電場が無い場合と外部電場を考慮した場合の界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力と交換スティフネスを計算した。以下、計算結果を示す。 1)スピンスパイラル構造の全エネルギーをスパイラル波数qの関数として算出し、全エネルギーの値がスピンスパイラルの回転方向 (+qと-q)で異なり、界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力が生じることを確認した。また、軌道モーメントの大きさもスピンスパイラルの回転方向で異なる振る舞いを示した。全エネルギーの波数q依存性から、最小二乗法を用いて、波数qの1次項及び2次項を抽出し、界面ジャロシンスキー守谷相互作用力と交換スティフネスを導出した。 2)±5V/nmの外部電場を真空層に導入し、外部電場下における界面ジャロシンスキー守谷相互作用力と交換スティフネスを、上記1)と同様に決定した。外部電場の導入により、界面層におけるCoとPt層のd軌道状態密度が変化すること、また、界面ジャロシンスキー守谷相互作用力と交換スティフネスとも、外部電場を印加することにより、それぞれ5%と10%程度変化することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発したプログラムを用いて、プロトタイプのCo/Ptの2層金属薄膜に対し、外部電場が無い場合と外部電場を考慮した場合の、界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力と交換スティフネスを計算することができ、また、その起源についても電子構造の観点から明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、Co/Pt2層金属薄膜に対して、Co原子層(1原子層~3原子層)とPt原子層(3原子層~9原子層)の厚さの違いによる界面ジャロシンスキー守谷相互作用力と電場効果がどのように変化するかを考察する。また、3d遷移金属層にCoとFe原子層を、重金属層に種々の5d属遷移金属とした2層金属薄膜に対して界面ジャロシンスキー守谷相互作用力を計算し、系統的な解析を実施する。
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Causes of Carryover |
プログラムの改良により計算消耗品費を予定より少なくすることができた。その他、旅費等を節約したため次年度使用額が生じた。私用計画として、計算機消耗品の購入、また国内会議・国際会議で研究成果を発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(23 results)