Outline of Annual Research Achievements |
全電子フルポテンシャル線形化補強平面波法(FLAPW法)を界面ジャロシンスキー・守谷相互作用力(DMI)の大規模計算が可能なプログラムに改良した。引き続き、プロトタイプ系のCo/Ptの2層金属薄膜に加え、強磁性体3d金属(Fe, Co, Ni)と非磁性体5d金属(Hf, Ta, W, Re, Os, Ir, Pt)の2層薄膜に対して界面DMIの金属種依存性を系統的に解析した。5d金属を周期律表順のPt, Ir, Os, Reと変化させた場合、界面DMIパラメータがそれぞれ258, -160, 40, -100 meV/nmと振動し、Co/Ptで最も大きな正の値、Co/Irで大きな負の値となること、W, Ta, Hfと変化させた場合には、界面DMIパラメータが146, 79, 41 meV/nmと正の値から減少する傾向が示された。界面DMIパラメータに対する各原子層のエネルギー寄与の解析により、Co/Ptでは界面のPtが、Co/Irでは界面のIrが界面DMIパラメータの決定のうえで重要な役割を担っていることがわかった。また、これらの5d金属種に対する界面DMIの3d金属種依存性を調べた。Feの場合、Coに比べ、界面DMIパラメータが全体的に負の値の方向にシフトする傾向に、Niでは、Ni/Ptで界面DMIパラメータが僅かに得られたものの、他の5d金属で界面DMIパラメータはほぼゼロの値となった。以上のことから、界面DMIは3dおよび5d金属の金属種の組合せにより顕著に依存することが示唆された。外部電場下におけるCo/Ptの界面DMIを考察した。外部電場の導入による界面DMIパラメータの変調は、界面におけるCoとPtのd軌道状態密度及び軌道磁気モーメントの変化と相関があることが示唆された。
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