2018 Fiscal Year Research-status Report
フラストレーションが生む新奇量子磁性状態と強誘電性
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16K05425
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
桃井 勉 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (80292499)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラストレーション / 超固体 / トポロジカル相 / カイラル相 / 多体交換相互作用 / SU(4)対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)カゴメ格子反強磁性体における磁場中の磁性状態において、スピン自由度の超固体状態と言われる磁気的結晶構造と横方向のスピン秩序の共存状態の出現を調べた。摂動展開法を用い磁化プラトー状態が現れる磁化1/3と5/9の間の磁化において、超固体的なスピン状態が現れることを明らかにした。 2)2軌道自由度を有するSU(4)対称性を持つ1次元フェルミ冷却原子系における基底状態が有するトポロジカルな特性を調べた。特に、サイト当たりの原子数が2軌道それぞれで3と1の場合の固体相をDMRG法を用いた数値計算手法と行列積表示を用いた解析計算手法により調べた。この占有数において、基底状態がZ4×Z4対称性に守られたトポロジカル相になることを示した。また、相互作用の形を変えると基底状態のトポロジカルな性質が変わりトポロジカル量子相転移を起こすことを示した。 3)三角格子上の多体交換模型において以前の理論研究により出現が予想されているスカラーカイラル相の安定性を線形スピン波展開で解析した。4体の相互作用のみならず5体、および6体相互作用の効果まで含め調べた。いずれの場合も線形スピン波の範囲では、スカラーカイラル相が安定であることが示された。 4)幾何学的フラストレーションのある軌道縮退系におけるスピンと軌道自由度の相関効果が誘起する強誘電性を調べた。スピンと軌道の相関と電気分極の関係を明らかにした。摂動計算により有効モデルを導出し、有限系の数値計算と比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの分野にわたる磁気フラストレーション、およびトポロジーに関する研究成果が上がり論文としてまとめることが出来た。また、強誘電性の理論の研究も進んでおり、完成まであと少しである。
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Strategy for Future Research Activity |
強誘電性の研究も成果が上がりつつある。成果を論文としてまとめ、発表する。
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Causes of Carryover |
成果はほぼ上がっており、その成果を来年度に論文として投稿し発表する。また、来年度に会議に参加・発表のための経費を回す。
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