2018 Fiscal Year Research-status Report
パイロクロア・カゴメ格子量子スピン液体とそのトポロジカルな性質の理論的研究
Project/Area Number |
16K05426
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小野田 繁樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (70455335)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子スピン液体 / フラストレート磁性体 / 理論 / パイロクロア格子 / カゴメ格子 / スピンアイス |
Outline of Annual Research Achievements |
パイロクロア量子スピンアイスにおいては、長距離U(1)トポロジカル秩序を示すU(1)量子スピン液体相が実現する場合があることがすでに理論的に示されている。この量子スピン液体では磁化のモノポールが準粒子励起として生じる。また、モノポールがボーズ凝縮する場合には磁気秩序相へと相転移する。本研究課題では、このような性質を示す量子スピンアイス系、および、その2次元版であるカゴメ格子系に特有な現象を理論的に探究してきた。 当該年度は、U(1)量子スピン液体相にある量子スピンアイスの薄い層を、強磁性相にあるふたつの量子スピンアイス物質で挟んだ接合系において、接合を介したモノポール超流動流が接合面に平行にかけた印加電場に垂直に流れることを示した論文を出版した。この件については、昨年度に日本への特許申請を済ませていたが、当該年度にはアメリカにも特許を申請した。また、Aサイトの元素がインターカレートしたイリジウムスピネル化合物が高温から量子スピンアイスとしてふるまうことを第一原理電子構造計算から示した論文を出版した。 さらに、電場中におけるU(1)量子スピン液体の性質について、より一般に理論的に考察を深めた。特に、モノポールの軌道が電場によって曲げられることを理論的に示した。また、量子スピンアイス系Yb2Ti2O7の低温強磁性秩序相における磁気励起について、昨年度に行っていた理論解析に不十分な点が見つかり、解析をやり直した。その結果、最低エネルギー励起モードをほぼ説明することに成功した。これらの案件については論文を執筆中である。 以上の論文を投稿・出版したところで、本研究課題の遂行を完了する見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Yb2Ti2O7の磁気励起の論文の投稿出版については翌年度にずれこんだが、計画当初には予定していなかった電場中の量子スピンアイスの理論的研究について大きな進展が見られたことなどから。
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Strategy for Future Research Activity |
Yb2Ti2O7の磁気励起に関する論文、電場中の量子スピンアイスに関する論文を早期に執筆・出版する。
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Causes of Carryover |
論文の出版が遅れたことによる論文投稿料と、関連する成果発表のための海外出張の旅費が残った。残額はこれと同じ計画で次年度に使用する。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] Emergent spin-1 Haldane gap and ferroelectricity in a frustrated spin-1=2 ladder2018
Author(s)
H. Ueda, S. Onoda, Y. Yamaguchi, T. Kimura, D. Yoshizawa, T. Morioka, M. Hagiwara, M. Hagihala, M. Soda, T. Masuda, T. Sakakibara, K. Tomiyasu, S. Ohira-Kawamura, K. Nakajima, R. Kajimoto, M. Nakamura, Y. Inamura, M. Hase, Y. Yasui
Organizer
International Conference on Highly Frustrated Magnetism 2018
Int'l Joint Research
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