2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05438
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武田 直也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80242171)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超伝導 / 空間反転対称性 / 異方的超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年、連携研究者の退職によって比熱、電気抵抗の測定ができなくなった状況に加え、磁化測定装置(MPMS)が故障した。前半はMPMSの修理に追われたが、現在は測定できる状況に回復した。比熱、電気抵抗を測定するための部品の作成、組み立てを行った。また、測定系のノイズを削減するためノイズフィルターを作成し、測定系の整備を行った。これらの測定系は現在調整中である。 昨年度に引き続き、異方的超伝導が期待されるLu5T6Sn18単結晶の育成を行った。Lu5Co6Sn18の純良化に成功し、Lu5Ir6Sn18の単結晶の育成にも成功した。組成分析、結晶軸の確認を行った後、良質部分の切り出しを行う。空間反転対称性のない超伝導と報告されているLaRhSi結晶を育成し、磁化率の測定によって、報告とは異なり超伝導体ではないことを明らかにした。空間反転対称性のない超伝導物質探索として、BaPdSiとBaPtSiの育成を行った。蒸気圧の高いBaを含むため育成は困難で様々な試みを行ったが、Mo坩堝に試料を封入し、Moを溶接密封することで試料を育成することに成功した。Mo坩堝を溶接するために、テトラアーク炉のハースの改造を行った。これによって、アーク炉では育成が困難であった結晶の育成が可能になった。しかし、育成されたBaPtSiは空気中で不安定であり、1,2ヶ月放置すると崩壊することが最近明らかになった。測定のためには育成し直す必要がある。超伝導体ではないが、LaRhSiと同じ結晶構造をとるCeIrSiの物性研究を行った。低温まで非磁性との過去の報告があるが、我々の試料は強磁性であった。しかし、いくつかの試料を育成した結果、非磁性の試料も存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連携研究者の退職によって比熱、電気抵抗の測定ができなくなった状況に加え、磁化測定装置(MPMS)が故障した。前半はMPMSの修理に追われたが、MPMSは現在は測定できる状況に回復した。また、新潟大学に設置されているヘリウム液化機が、昨年は半年にわたって故障し、ヘリウムの十分な供給がされなかった。そのため、低温実験が予定どおり進まず、測定系は調整状態にあるが、近々再開する予定である。結晶育成技術に関しては、テトラアーク炉の改修によって、Mo坩堝への試料密封が可能になった。これによって、アーク炉では育成が困難であった結晶の育成が可能になった。物質探索は予定どおり進んでおらず、空間反転対称性のない超伝導を期待したLaIrSiに続き、LaRhSiの超伝導も本物ではなかった。これまでの所、新しい超伝導物質は見つかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在調整中の低温実験の測定系を早期に回復する。異方的超伝導Lu5Co6Sn18とLu5Ir6Sn18については、電気抵抗、比熱測定によって異方的超伝導ギャップを明らかにする。空間反転対称性のない超伝導探索を引き続き行い、本研究で試料育成方法が確立したBaPtSiとBaPdSiの超伝導探索を行い、BaをSrやCaに置換した系、SiをGeに置換して系の検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)学内ヘリウム液化機の故障により液体ヘリウムが供給されず、測定系の再構築にも遅れが生じ、低温実験が十分に行われなかったことによる。 (使用計画)低温実験再構築のために多くの寒剤を使用する。再構築後には長時間に及ぶ実験を行うため、さらに多くの寒剤を必要とする。また、試料作製のための原料、石英管などを購入する必要がある。これら寒剤、原料費などとして使用する。
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Research Products
(5 results)