2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05452
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 和磨 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60525236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超伝導 / 第一原理計算 / 多体摂動計算 / ワニエ関数 / 誘電関数 / GW計算 / 新物質探索しミュレーション / 汎用ソフトウェア開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導転移温度の非経験的・定量的評価を目的として, 第一原理計算を用いた電子格子相互作用および電子間相互作用の評価コード開発およびこれを用いた実証研究を行う。転移温度は物質の素材性能を測る基礎データであり, これの非経験的評価は, 新規超伝導体の理論予測・効率的物質設計のための基盤技術である。物質の低エネルギー電子構造と様々な量子揺らぎを第一原理計算を用いて評価し, 超伝導を考察するための基礎パラメータ (λ, μ*, デバイ温度等) を得る。 当該年度は以下の項目に取り組んだ:
1.第一原理計算および進化論アルゴリズムに基づく非経験的構造探索ソフトウェアUSPEXを用いた理論計算的手法により新物質探索シミュレーションを行った。現在第一原理計算の潮流は単に物性評価を行うだけでなく,新物質探索についても高いニーズがある。こうした潮流を受けて早急に研究体制を構築することが必要となった。よって当該年度は未知の超伝導物質の探索というテーマを掲げ,主に水素化合物を中心に新物質探索シミュレーションを行った。
2.前年度に引き続き第一原理多体摂動計算ソフトウェアRESPACKの整備を進めた。RESPACKは,ワニエ関数,誘電関数,相互作用パラメータ評価のためのプログラムであり,物質の低エネルギー物性計算のための統一的パッケージである。当該年度は,特に 1) スピン軌道相互作用を含む系への拡張,2) GW計算プログラムの組み込みを行った。1) が完成すると,スピン軌道相互作用系における超伝導物質の計算が可能となる。2) についてはほぼ完成し,Al, Si, Cu といったベンチマーク物質について計算コードの検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,研究成果について,関連論文を二報,招待講演を二件報告した。また開発ソフトウェアが,2018年度東京大学物性研究所ソフトウェア開発・高度化プロジェクトに採択された (「第一原理有効模型導出プログラムRESPACKと模型解析プログラムHΦ/mVMCの融合による非経験的強相関電子構造解析ソフトウェアの整備」)。なお,2017年10月20日に公開したRESPACKは,2018年5月2日現在,ダウンロード総数528件である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り,1) プログラム開発,2) 具体物質に対する実証研究,2) 成果報告 (論文発表,講演,開発ソフトウェア汎用公開) を柱にして積極的に研究を展開したい。一方で,さきの「研究実績の概要」でも述べたとおり,近年,第一原理計算は機械学習研究・人工知能研究と融合して大きく進化しようとしている。今後,これらの融合研究に基づく新物質探索アルゴリズム開発・シミュレーションは計算物質科学研究の大きな柱になる可能性がある。こうした潮流に対応できる研究体制整備・人材育成にも注力したい。
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Remarks |
RESPACKは第一原理計算多体摂動計算汎用ソフトウェアであり,ワニエ関数,誘電関数,有効相互作用,GW計算を実施できる。2017年10月20日の公開後,2018年5月2日現在,ダウンロード総数528件である。
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Research Products
(5 results)