2022 Fiscal Year Annual Research Report
Kondo-like effects by charge or orbital degrees of freedom, and connection to the itinerant picture
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16K05464
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
倉本 義夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (70111250)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軌道近藤効果 / 軌道縮退 / クォークの色自由度 / カラー近藤効果 / 鉄系超伝導体 / 上部臨界磁場 / 中性子散乱 / 水素イオン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではスピン以外の内部自由度に由来して,金属中の局在電子に由来する近藤効果と類似した挙動を示す系を研究した。仮想的に局在の程度を弱めると,基底状態は遍歴電子に対するバンド理論で記述できるようになるはずである。本研究の着眼点は,局在・遍歴という対立した描像が連続的に接続されることにあり,接続領域で生ずる現象に興味がある。この観点から,第1原理バンド理論に基づき,軌道縮退した結晶場基底状態を有する系で擬近藤効果が出現する条件を吟味した。具体的にはPr化合物を例にとり,電子構造に依存してf電子の混成相互作用が大きく異なることを示した。さらに,内部自由度は電子に限定されないことに注意し,クォークの色自由度によってカラー近藤効果が出現する状況を論じた。具体的には重イオンの衝突に伴う超強磁場中で,スピン分裂した重いクォークが磁性不純物,軽いクォークが電子に対応する役割を果たす。 昨年度の継続で,本年度も鉄系超伝導体に対して実験家と共同研究を行い,水素ドーピングの程度に応じて上部臨界磁場が異なる挙動を示す理由を同定した。モデルとして,低ドーピングでは複数d軌道の結合が重要になるためクーパー対は拡張s波,高ドーピングではバンド間相互作用が弱くなるためd波の対称性をとることを想定した。相互作用をパラメータとした2バンドモデルを用い,拡張BCS理論の範囲で上部臨界磁場を解析し,対称性変化を想定したモデルの妥当性が示された。実験家との共同研究は,Laを含む水素イオン伝導体LaH_{3-2x}O_xの中性子散乱結果についても行われた。準弾性散乱の幅を解析することにより,水素イオンの拡散係数はxと共に減少することが見出された。これは通常のイオン伝導とは逆の傾向である。なぜなら水素イオンの空格子点はxと共に増加するので,拡散係数も増大することが期待されるからである。
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[Journal Article] Quasielastic neutron scattering probing H^- dynamics in H^- conductors LaH_{3-2x}O_x2023
Author(s)
Hiromu Tamatsukuri,Keiga Fukui, Soshi Iimura, Takashi Honda, Tomofumi Tada, Youichi Murakami, Jun-ichi Yamaura, Yoshio Kuramoto, Hajime Sagayama, Takeshi Yamada, Masato Matsuura, Kaoru Shibata, Maiko Kofu, Yukinobu Kawakita, Kazutaka Ikeda, Toshiya Otomo, and Hideo Hosono
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 107
Pages: -
Peer Reviewed
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